・インタビューしちゃいました!! 2015-01-15 09:30

帝国劇場ミュージカル『レ・ミゼラブル』 上山竜治 インタビュー

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新キャストによるチャレンジ

不朽の名作が再び進化を遂げる

 

人前に出ることは嫌いじゃなかったとのこと。中学生のとき、道を歩きながら大声でゆずの「からっぽ」を歌っていたら、近くのビルから出てきた男性と目が合った。

上山「人と目が合って、歌うことをやめてしまったら、僕の負けだと思っていたので(笑)。だからその人の目を真っすぐ見たまま歌いつづけてたら、その人も真っすぐ見返してきて。『いい声してるね、デビューしようよ!』って言われて、今に至ります(笑)」

 

小学生のときは母親が運転する車の窓を開け、選挙カーよろしく「カミヤマリュージです! よろしくお願いします!」と叫んで遊んでいたそうだ。

上山「ひどいですよね(笑)。今思えばとても迷惑な少年だったと思います。このお仕事に就けてなかったら、僕はどうなっていたんだろう」

 

そんな彼は、しかし今は「目立つ」のとは少し違ったベクトルを目指そうとしている。ロンドン、ニューヨークで歴史的なヒットをたたき出し、もはやミュージカルの金字塔とも呼ぶべき「レ・ミゼラブル」。その日本版がこの春に開幕するにあたって、新しいキャストとして上山竜治もその名を連ねているのだ。

上山「僕は20代序盤のころに、本格的にお芝居を勉強したくてロンドンやニューヨークに行かせていただいたんですね。『レ・ミゼラブル』は当日券で、いちばん前の席で観ました。ミュージカルっていうと“歌”と“芝居”がくっきりと切り離されているような印象を受けるけど、この作品は違った。歌が、芝居としてそこにあるんですよ。それぞれの役柄が、ちゃんと存在して、立っている。その衝撃がすごく大きかったですね。ちゃんと存在さえすれば、言語とかメソッドとかは関係ないんだなと思って。いつか、チャレンジしたいと思いました。自分はどのくらい通用するのか、この舞台でなら知ることができると」

 

本作は言うまでもなく、ジャン・バルジャンという男の一代記だ。上山は、革命を志す若者たちのリーダー、アンジョルラスを演じる。圧倒的な説得力とカリスマ性で、仲間のみならず市民全体を牽引しようとする男だ。

上山「その奥深くにある葛藤が美しいんですよね。革命の中心人物である将軍が亡くなって『……もう無理だ』『どうしよう』っていう思いがきっとあるはずなんです。それでも、アンジョルラスはみんなを鼓舞する。僕は『RUN&GUN』というグループで14年間リーダーを務めてきたので、その気持ちが少し分かるんですけど、仲間って、ただ勇ましいだけのリーダーには付いていかないと思うんですよ。弱いところやダメなところを、アンジョルラスもみんなに見せてるんじゃないかな。『こいつさ~、ホント弱いんだよ!』なんて言い合える結束の強さ。そういう関係性を見せられたらいいですよね」

 

そう、「レ・ミゼラブル」で際立つのは「結束」である。若者たちの結束、親と子どもの結束、恋人たちの結束。ただ目立ちたいだけでは、表出し得ない関係性の数々。

上山「その意味では、これまで出会ってきた演出家の方々に本当に感謝しています。『お前の野心は、芝居には要らない』『自分だけで歌わないで、相手の歌を受け取って返して』って言っていただいた。そのことは今も僕の大きな指針のひとつです」

 

弱くて、繊細で、「受け」に回るアンジョルラス。「レ・ミゼラブル」がまたひとつ、進化の一歩を見せようとしている。

 

インタビュー・文/小川志津子

 

【プロフィール】

上山竜治

■カミヤマ リュウジ ’86年、東京都出身。’01年から’14年まで「RUN&GUN」として活動。宮本亜門演出「イントゥ・ザ・ウッズ」(’04年)以来多くの舞台に出演。また、10月クールフジテレビ月曜21時「信長協奏曲」でレギュラー出演した。

 

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