・連載―ゴジゲン目次の ボクには下校のチャイムが聞こえない! 2017-10-10 20:19

【連載】第3回 新作『くれなずめ』のストーリー大胆予想 vol.10532(最終回)

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「ゴジゲン」の目次立樹(メツギリッキ)です。
「ボクには下校のチャイムが聞こえない」略して「ボクチャイ」!
なかなか下校できない大人たちに贈る、甘酸っぱくない、むしろ饐(す)えたテイストのコラムです。

 

~前回の流れ~
ゴジゲン主宰・松居大悟しか知らない第14回公演「くれなずめ」のストーリーを明らかにするべく、目次は壮大な謎解きを繰り広げるのだった。
手がかりはこの3点。

①『くれなずめ』というタイトル
②フライヤーのビジュアル
③キャッチコピー

 

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↓(びっくりするほど熱い) キャッチコピー

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目次はわずかな手がかりを頼りに、謎の公演タイトル「くれなずめ」とは、「呉(広島県の地名) + なずめ(「馴染め」の広島弁)」であることを突きとめた。
そして、その「呉に馴染め」のメッセージから、呉に馴染めていない人物を探し出すべく、フライヤーの写真(結婚式の帰りと思われる6人の男たち)を頼りに捜査を進めるのだが、全く解決の糸口を掴めずにいた。
すべての道が閉ざされたかに思われたが、目次は突如、

「彼らは結婚式になど出席していなかった。むしろ彼らは、式をぶち壊しに来たのではないか!?」

という独自の推理を展開する。
10532回目を迎えたこのコーナーも今回で最終回!!!

ついに今作品の全貌が明らかになる!?

 

なぜ彼らが式をぶち壊しに来たと思ったのか、私の推理を聞いていただきたい。
まず、呉に馴染んでいなかったのは、写真の6人ではなく、

新婦だったのだ!

彼女を仮に純子(すみこ)と名付けよう。

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純子(36)はなぜ呉に馴染めなかったのか、それには深い理由があった。

純子は大恋愛の末に、呉に嫁いできた。
しかし、呉という初めての土地。
生まれ育ったカザフスタンとは勝手が全く違った。(純子はカザフスタン人の父と日本人の母との間に生まれた帰国子女)
港町とはいえ、まだ封建的な部分は残っており、よそ者には冷たかった。(カザフスタンはイスラム教を信仰する人間が多く、人と人との距離が非常に近い)
友人もいない、姑は自分に冷たい、舅は飼犬のチャロのことしか興味がない。
頼みの夫は、海上自衛隊勤務のため夜も帰ってこないことも多かった。
純子は一人淋しく過ごす呉の夜がたまらなく恐ろしかった。
ついに純子は呉を飛び出した。
そして、日本各地を点々とするうちに出会ったのが新郎の武夫(42歳・マッサージ師)だった。

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武夫は優しかった。

呉でカチコチに固くなった純子のハートを、丁寧にもみほぐし、優しく温めた。
そして何より自営業だった。(「手もみん」で店長を務めたのち開業)
夜は必ず傍にいてくれた。
そして、ある月がきれいな夜に、

「純子さん、僕は一生君に淋しい思いはさせない。結婚してくれ」
「………。(コクリ)」

二人は結ばれた。

式場は渋谷の「セルリアンタワー東急ホテル」だった。
しかし、式の当日、招かれざる客が紛れ込んでいた。
純子の元夫・智史(34)とその仲間たちだ。(写真の6人)
智史は自衛隊仕込みの肉体にものを言わせ、強引に式場に乗り込んできた。

「純子!わしが悪かったっ!もう二度と淋しい思いはさせんけぇ、もう一度やり直そうや!」

 

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しかし、新郎新婦はお色直しの最中だった。
その場で取り押さえられ、渋谷の街に放り出された智史とその仲間たち。

 

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そんな中、何事にもしたたかな友人の奥村は、ちゃっかり人数分の引き出物袋を失敬していた。
そして友人の善雄はそんな大変な時でさえハンサムだった。
智史たちは途方に暮れた。
両親にも何も言わず、はるばる呉から二人分の帰りの航空券だけを握りしめてやってきた。
どうしても智史は諦めきれなかった。
純子と二人重ねた愛の日々が智史のハートを奮い立たせ、二次会に乗り込む決意をする。
そして、今度こそ呉で明るい家庭を築いてみせると固く心に誓い、ネクタイを締めなおした。

果たして智史とその仲間たちは、純子を取り戻すことができるのだろうか!?

 

今回のキャッチコピーは、

記憶は目に焼きつ付いた永遠!
思い出にするぐらいなら忘れてやる!
沈む夕焼けは火傷しながら支えるだけさ!
今日もお前を迎えに行くぜ!
遠慮はいらないぜ!

と、あるが実はこういう意味が隠されている。

 

(二人重ねた愛の)記憶は目に焼きつ付いた永遠!
(おまえが武夫とかいうマッサージ師の男と結ばれて、その記憶を過去の)思い出にするぐらいなら忘れてやる!
沈む夕焼けは火傷しながら支えるだけさ!(日が沈むと俺は夜勤に行かなくてはならないからな)
(日にちを間違えて昨日も来たけど)今日もお前を(式場に)迎えに行くぜ!
(「でも私、あなたに愛される資格なんてない」なんてくだらない)遠慮はいらないぜ!

 

そして最後に一言付け加えるとしたら、

(わしがおまえを幸せにするけぇ一緒に帰ろう!そして今度こそ)
呉、馴染め!

もはや説明は不要だろうが、逃げた妻を追いかけ二次会の会場に乗り込む男・智史役は、海上自衛隊が似合う男、本折最強さとし以外は考えられない。

 

以上が、私のゴジゲン新作公演「くれなずめ」のストーリー予想だ。
どうだ、松居?
完璧な推理だっただろう?
おまえが大好きな麦チョコをポロポロと口からこぼしている様子が目に浮かぶよ。
読者の皆様はぜひ本コーナーを参考にし、自分の趣味趣向を照らし合わせたのちに本公演を見に行くか否かを判断してほしい。
よもやそんなことはないとは思うが、万が一私の予想がはずれた場合は、松居があわててストーリーを変更したと判断していただきたい。

 

劇場でお待ちしてます。
長々とお付き合いくださりありがとうございましたヽ(・∀・)ノ

 

【公演概要】
ゴジゲン『くれなずめ』

日程・会場:
10/19(木)~29(日) 東京・下北沢駅前劇場

11/4(土)・5(日) 京都・アートコミュニティスペースKAIKA
11/11(土)・12(日) 福岡・北九州芸術劇場 小劇場

作・演出:松居大悟
出演:奥村徹也 東迎昂史郎 松居大悟 目次立樹 本折最強さとし 善雄善雄