・出演者からのメッセージ! ・取材してきました! 2015-08-14 12:28

大坂の陣400年記念『大阪平成中村座』について中村勘九郎が語る!

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大坂の陣400年記念『大阪平成中村座』について
中村勘九郎が語る!

 

 今秋、5年ぶりに大阪での上演が決まった『大阪平成中村座』。『平成中村座』は、十八世中村勘三郎が「江戸時代の芝居小屋を現代に復活させたい」と願い、2000年に初めて東京で実現させた歌舞伎公演。ニューヨーク、ベルリンなどの海外公演も行う一方、2002年、2010年と過去に2回の大阪公演を果たした。今回の会場は2010年と同じく大阪城 西の丸庭園。当時、そのロケーションを生かした演出も話題となり、反響を巻き起こしたことも記憶に新しい。このたび、5年ぶり3回目となる『大阪平成中村座』について中村勘九郎が意気込みを語った。

 

 ――『大阪平成中村座』は大阪城西の丸庭園 特設劇場にて10月25日[日]から11月26日[木]までの期間公演が行われる。

勘九郎「父は歌舞伎名前のとおり、歌や舞い、技(芝居)などいろんな狂言を見てほしいとこだわっていました。また、大坂夏の陣から400年という記念の年に大阪城でやらせていただくということで、太閤様ゆかりの演目を昼夜ともにやらせていただきます」

 

 ――昼の部は出演者全員による『女暫』(おんなしばらく)から始まる。

勘九郎「七之助が最近、(坂東)玉三郎のおじさまにお稽古をしていただいていまして、彼がやりたいと言い出して。今回の出演者全員が顔をそろえる舞台になっています。僕は、舞台番鶴吉の役で、勘九郎襲名のときに大阪松竹座でやらせていただいています。鶴吉はちょっとおかしみのある役です。七之助と二人で話し合いながら、大阪のお客さにも楽しんでいただけるようなものにしたいなと思っております」

 

 ――続いて舞踊の『三升猿曲舞』(しかくばしらさるのくせまい)。

勘九郎「20分くらいの踊りですが、立もあって派手にやります。ここの演出も見ものです! 中幕の踊りを何にしようかといろいろ候補が挙がって悩んだのですが、中村座のよさをお客様に楽しんでいただきつつ、太閤様ゆかりのもの、と考えこの演目を選びました。スカッと見られる踊りになっております」

 

 ――最後は人情喜劇の『狐狸狐狸ばなし』(こりこりばなし)。

勘九郎「とても分かりやすい話です。雇人又市の役は2回目なんですけども、又市は面白い役で楽しみなのですが、関西弁を使うことが少しプレッシャーですね(笑)」

 

 ――夜の部は『俊寛』(しゅんかん)と『盲目物語』(もうもくものがたり)を上演する。

勘九郎「父ゆかりのものをやろうと思いまして、『俊寛』をやります。俊寛は橋之助のおじが勤めます。『盲目物語』はずっとやりたい演目でした。父が祖父から受け継いで、中村屋にとりましても大事な演目の一つです。僕も子どもの頃から見ていて、子どもながらになぜかわからないけど号泣しました。父演じる弥一がかわいそうで、かわいそうで。だけれども、大人になって戯曲を読むと谷崎潤一郎らしいマニアックな世界というか、彼独特のフェティシズムやエロスが出ていて、人間の業という部分も見えるとても好きな芝居です。弥一と藤吉郎という二人の男を演じ分けるのですが、一人の女性を愛する二人の男の役をやるというのも面白みの一つです」

 

 ――そして、5年ぶりに『大阪平成中村座』実現に至ったことを率直に嬉しいと語る。

勘九郎「弟と話し合ったわけではないのですが、父が逝ってしまって、二人の共通した夢が“中村座をもう一度建てたい”というものでした。それが今年の4月に浅草で叶って、さらに同じ年に大阪でできるというのは、本当に幸せです。僕達は一生懸命やるだけです」

 

 ――父の遺志を受け継ぎ、初めて気づいたこともある。

勘九郎「座元として劇場の表でも裏でもいろいろと気を配る必要がありました。それは当然のことなのですが、“ああ、父はこういうところで闘っていたんだな”と改めて父の偉大さを思いました。幕が開いて、大勢のお客様が見てくださる空間で(歌舞伎を)やらせていただくのは幸せなことですし、これからも中村座をどんどん続けていきたいなという新たな夢ができました」

 

 ――『平成中村座』は江戸時代の芝居小屋の雰囲気をふんだんに取り入れている。

勘九郎「仮設の芝居小屋ですだから、お客様もお尻が痛かったりとか、暑かったり、寒かったりすることもあるかと思います。それらも含めて楽しんでいただけたらいいなと思います。また、靴を脱いで(劇場内に)入るというのも珍しいですね。今、靴を脱いで入る劇場はなかなかないですから、そういった雰囲気も楽しんでいただきたいです。江戸時代にタイムスリップするというか、何か異次元の空間に迷い込んだように感じてでいただけたら嬉しいなと思います。初めて歌舞伎を見に来られる方にも、“こんなに楽しい世界なんだ”と思っていただけたらと思います」

 

 ――そこには劇場で観客を案内する係、“お茶子”の存在も大きく関わっている。

勘九郎「中村座のお茶子さんは、世界に誇れるお茶子さんだと思っています。中村座はみんなで作り上げるもので、それこそ父だけの中村座ではもありません。お客様の案内という立場から、中村座という空間をどう楽しんでもらうか、案内や誘導の方法に工夫を凝らしてテーマパークのようにした仕立てたお茶子さんたちは、本当にブラボーだと思っています」

 

 ――そしてもう一つ、『平成中村座』という空間を楽しんでもらえる趣向も用意しているという。

勘九郎「“隠れ勘三郎”をやります。父はディズニーランドが好きだったので、4月の浅草公演で“隠れミッキー”ならぬ“隠れ勘三郎”を作ったんです。うちの父の目をプリントしたものを劇場の周り十八ヶ所に仕込んで、それをお客様に探してもらうというものなのですが、お茶子さんたちが“今まで何回も中村座をやってきたけれども、お客様がこんなに中村座の中を歩き回ってくれたことは初めて。”と話していて。“お父さんが喜んでくれたんじゃないかな”って。なので、大阪でも必ず“隠れ勘三郎”を作りたいと思います!」。

 

 

【公演情報】
大坂の陣400年記念
『大阪平成中村座』
日程:2015/10/25[日]~11/26[木]
会場:大阪城西の丸庭園内 特設劇場
出演:
中村扇雀、中村勘九郎、中村七之助、坂東新悟、中村国生、中村虎之介、中村鶴松、片岡亀蔵、坂東彌十郎、中村橋之助

 

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