・NEWS 2017-12-19 17:30

新国立劇場3月公演「赤道の下のマクベス」
スペシャルトークイベントで鄭義信・池内博之・平田満が語る!

sekidoushita

12月18日(月)に新国立劇場にて3月公演される「赤道の下のマクベス」の公開トークイベントが行われた。

このイベントでは作・演出の鄭義信を迎えて今までの制作過程を振り返りつつ、この最新作に出演する池内博之、平田満も交えて上演に対する意気込みを伺った。

「赤道の下のマクベス」を作・演出する鄭義信は「焼肉ドラゴン」・「たとえば野に咲く花のように」・「パーマ屋スミレ」の「鄭義信三部作」など今まで新国立劇場で数々の名作を上演してきた。
今回の公演で主演を務める池内博之と平田満はこの作品の印象を聞かれると池内は「まず台本を頂いて最初にカフェで読んでいたらすごく泣いてしまって、最後まで読めなかったんです。この作品はBC級戦犯の話を描いているのですが、自分にもこういった知識があまりなく、勉強不足を反省しました。ぜひ若い人にも見て欲しい作品です。」と語り、平田は「鄭さんの作品はいつも優しさを感じています。この作品もそうだと思いました。戦争とか、正義とか、そういったものを声高に叫ぶのではなく人間にフォーカスを当てた作品です。個人的に、この年齢で一兵卒の役を演じるのにとても面白味を感じているので、今から稽古が楽しみです。」と答えた。

また、鄭義信は作品について「死刑を待つBC級戦犯の収容所という極限の状態を舞台にしているのでいつもより笑いが少なくなっちゃったかもね(笑)。でも、絶望感より小さくても希望のようなものが最後に残るということを描きたい。」と意気込みを語った。
また、稽古が“しつこい”ことで有名な鄭義信に対しては、池内が「大変な稽古になると思いますが、この作品を上演することはとても意義があると感じています。精一杯演じたい。鄭さんについていきます!」そして平田が「心して稽古に入りたいです。大変な稽古になるとは思いますが、今の時期にやるべき劇として上演できれば嬉しいですね。」と気合を入れる中「(稽古が長いと言われるが)最近はそうでもないんだよ」と鄭が笑う場面も。「池内さんと平田さんが言葉を交わすシーンが多く、親子みたいに見えればいいですね。」と演出に対する意気込みも話し、和気藹々とした雰囲気でトークを終えた。

公演は来年の3月6日~25日まで。東京・初台の新国立劇場にて。
チケットは1月20日発売。

 

◆作品について
義信の日本初演作品
戦争とは、国家とは……BC級戦犯として収容された日本人と朝鮮人の物語

鄭義信が新国立劇場に書き下ろした、1950~1970年代にかけて戦後の影の日本史を描いた三部作『たとえば野に咲く花のように』『パーマ屋スミレ』『焼肉ドラゴン』に遡る第四弾。
今回の舞台は、1947年、シンガポール、チャンギ刑務所。第二次世界大戦のBC級戦犯として収容されていた日本人と元日本人だった朝鮮人たちの物語です。捕虜への暴力や住民の殺害などの残虐行為の命令者・実行者がBC級戦犯の対象となり、そこには日本軍人だけではなく、朝鮮人や台湾人の捕虜監視員もいました。
収監された死刑囚たちは、死刑宣告を待つぎりぎりの精神状態の中にあった。命令した者が赦され、実際に手を下した者が裁かれるのか、加害者であり、また一方では被害者ともなる自らの立場に対する葛藤のはざまで、悩み苦しみながらも「生きる」ことを全うした人間たちの姿を描いています。過去の戦争の影が登場人物から透けて見えた三部作からさらに踏み込んだ、作家鄭義信にとって新境地となる作品です。
本作は、2010年、韓国ソウルの明洞芸術劇場で、鄭義信書き下ろし、ソン・ジンチェク演出で韓国語にて初演され、北京公演も行いました。今回は新国立劇場上演にあたって大幅に改訂、日本初演でお届けします。
いつも庶民の側から温かくも鋭いまなざしで大きな世界を描く熱い鄭義信ワールド。
戦争とは、国家とは……鄭義信が新たに描く「記録する演劇」にどうぞご期待ください。

◆あらすじ
1947年夏、シンガポール、チャンギ刑務所。
死刑囚が収容される監獄・Pホールは、演劇にあこがれ、ぼろぼろになるまでシェイクスピアの『マクベス』を読んでいた朴南星(パク・ナムソン)、戦犯となった自分の身を嘆いてはめそめそ泣く李文平(イ・ムンピョン)、一度無罪で釈放されたにも関わらず、再び捕まり二度目の死刑判決を受けるはめになった金春吉(キム・チュンギル)など朝鮮人の元捕虜監視員と、元日本軍人の山形や黒田、小西など、複雑なメンバーで構成されていた。
BC級戦犯である彼らは、わずかばかりの食料に腹をすかし、時には看守からのリンチを受け、肉体的にも精神的にも熾烈極まる日々を送っていた。
ただただ死刑執行を待つ日々……そして、ついにその日が訪れた時……。

 

【公演概要】

「赤道の下のマクベス」組写真
「赤道の下のマクベス」

日程:2018年3月6日(火)~25日(日) 
劇場:東京・新国立劇場 小劇場

作・演出:鄭義信

出演:
池内博之 浅野雅博 尾上寛之 丸山厚人 平田満
木津誠之 チョウ ヨンホ 岩男海史 中西良介