・取材してきました! 2017-03-10 16:36

★絶賛上演中★
博多座3月公演『熱血!ブラバン少女。』稽古&取材会長編レポ

“見たことのなか景色ば、見せちゃるけん”

博多座で上演中の舞台『熱血!ブラバン少女。』

公開舞台稽古 &囲み取材会の全貌をお届け!!

 

写真は上段左から武内由紀子、金子昇、斉藤優、宇梶剛士、松永玲子、是近敦之 下段左から、上野遥、神田朝香、森田順平、鳳蘭、博多華丸、星野真里、田中美里、入来茉里、宮崎香蓮

写真は上段左から武内由紀子、金子昇、斉藤優、宇梶剛士、松永玲子、是近敦之
   下段左から、上野遥、神田朝香、森田順平、鳳蘭、博多華丸、星野真里、田中美里、入来茉里、宮崎香蓮

 

全国トップレベルの実力を誇る福岡の精華女子高等学校吹奏楽部の大ヒットCDをモチーフに、博多座オリジナルの脚本で舞台化した作品『熱血!ブラバン少女』。3月26日まで博多座で絶賛上演中の本作は、昨年上演の『めんたいぴりり』以来2度目の主演舞台となる博多華丸が座長を務めている。ローチケ演劇部では、その初日を目前に公開された舞台稽古と囲み取材を直撃。そのレポートをお届け致します!

<公開稽古より>

公開稽古は第ニ幕一場からスタート。吹奏楽部の全国大会決定後、『保健室でのあたふた』劇が繰り広げられるというもの。まずは、養護教諭でかつては吹奏楽部の部長だった生島先生役で、星野真里が元気いっぱいに登場。そこへ吹奏楽部のかつての顧問で、今はひょんなことから用務員として吹奏楽部のコーチを務める武勝先生役で華丸、顧問役の金子昇が訪れ、彼らを探しにやって来た教頭役の森田順平、校長役の鳳蘭が集まるという場面だ。

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ベテラン勢が集まるこの一コマでも、演出家のG2氏からは『この台詞の時に、一度また上手に歩きながら次でこちらに戻ってもらえますか?』と、台詞を言う時の動きや立ち位置などの細かいチェックが入るが、俳優陣は即座にその演出に対応してみせる。

 

その次に行なわれた居酒屋で祝杯をあげる二幕二場では、居酒屋常連客役のメンバーをはじめ、福岡ローカル番組ではおなじみの芸人・斉藤優(パラシュート部隊)、吹奏楽部員のメイン4人組“新幹線カルテット”(※1)、友池望海役の宮崎香蓮、八尋陽加里役の入来茉里、谷延咲良役の神田朝香、瓜生瑞帆役の上野 遥(HKT 48)が登場。この場面でも、演出家G2氏からはHKT48の上野遥へ『そこの台詞は間を持たせず、区切らずに言ってみて』というチェックが入るが、元気な声で『はい!』と台詞をスグに言いなおして即OKをもらうやり取りが繰り広げられた。そんな上野に対して思わず華丸から『さすが、AKBやねぇ』と声がかかるも、女子部員たちから一斉に『いえ、HKTです!』と笑顔でツッコまれるという、場が和む瞬間もあった。

(※1)役柄名が新幹線の名称と同じことで、新幹線カルテットと名づけられている 写真は左から、望海(宮崎)・咲良(神田)・瑞帆(上野)・陽加里(入来)

(※1)役名が新幹線の名称と同じことで、新幹線カルテットと名づけられている4人。
写真は左から、望海・ノゾミ(宮崎)、咲良・サクラ(神田)、瑞帆・ミズホ(上野)、陽加里・ヒカリ(入来)

 

この居酒屋の場面、常連客たちが一斉に華丸演じる武勝を覗き込むというシーンでは、一番奥に座っている役者に対しても、『客席からは見えているから、ちゃんと前に顔を見せるように動いて欲しい』や、リアクションとして“頷く”タイミングに対しても『(台詞の順番として続けるのではなく)ちゃんと話を聞いて分かってから・・・というように頷いて!』などと、演出家G2氏の細やかなチェックが入る。また、役者たちからも動きに対する確認・演技の提案などが演出家に投げかけられるなど、真剣なやり取りが続いていた。

 

そして、この稽古の中で特に驚いたのは、今回の舞台で特別出演を果たす、精華女子吹奏楽部のメンバーたちの登場場面。周りには有名な役者たちが揃っている中で浮き足立ったり臆することなく、演奏はもちろん舞台上から立ち去る場面の稽古にも、真剣な眼差しで役者の台詞に耳を傾けている女子高生たち。居酒屋の場面からのセット転換の都合で、演奏の尺が足りないことが判明。その際、『1小節前の○○からに変更出来るかな?』という要望にも、即座に『はい!』と応え、音合わせをすることもなく一発で尺の延長に対応してみせる姿には鳥肌が!厳しい練習を重ね、日本一・世界一の栄冠を獲得し続けている吹奏楽部の貫禄を感じずにはいられない瞬間となった。

 

そんな中、稽古中で一番気になった姿があった。主演の華丸だ。今回の役柄で吹奏楽部の指揮を担うのだが、稽古中に少し間が空く瞬間にも指揮棒を振る姿には、いつも人を笑わせる芸人・華丸の姿ではなく、役者・座長としての真摯な姿が垣間見られた。

 

<囲み取材会>

今回お邪魔した公開稽古では、通常行われる通し稽古とは違い、場面ごとの確認作業が行なわれるという貴重な場面を覗けたのだが、その稽古直後に舞台上での囲み取材会が行われた。

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舞台上には、主要キャストの博多華丸、星野真里、金子昇、宮崎香蓮、入来茉里、神田朝香、上野 遥(HKT 48)、田中美里、斉藤優、武内由紀子、是近敦之、松永玲子、宇梶剛士、森田順平、鳳蘭ら15名が勢ぞろい。まずは出演者を代表して華丸が初日を目前として率直な気持を語った。

 

華丸「今の気持ち・・・皆さんの気持ちを代弁しますとですね、『間に合うのか?』というところです(笑)。(福岡入りしてからは)精華女子高校の皆さんとの練習が中止になっています。東京で稽古してきたつもりではいますが、まだ十分な稽古が出来ていない場面もたくさんあるので、そういう部分での不安は抱えています」

 

と語った華丸だったが、先日、某番組内で既に“ブラバン”についての漫才ネタを披露していたという。

 

華丸「いや、漫才のネタは、僕がお願いした訳ではなく、大吉さんが作ってくれたんです。『ブラバン少女』という舞台をやるので、金八先生にならないようにしましょう・・・というネタです(笑)」

 

その発言を受けて、実際にドラマ『金八先生』で数学の教師・乾(イヌイ)先生を演じていた森田順平が思わず…

 

森田「(金八先生の役柄・乾先生が今の役と)僕は思いっきりカブっとります(笑)」

 

華丸「まぁまぁ(笑)。その・・・イヌイ感(乾先生の感じ)は確かにありますね。あの乾先生が今作で教頭にまでのぼりつめたんだ!っていう空気感はあります(笑)」

 

と最初からすっかりと打ち解けた雰囲気の中で始まった取材会。共演者たちは役者・華丸をどう見ているのかが気になるところだ。

 

「華丸さんは、とてもリアリティのある素敵なお芝居をされる方で、私は逆に舞台ばかりをやってきた人間で(演技が)オーバーになってしまうから、ちゃんと(私が)合ってるかな?と心配です」

 

華丸「え!恐縮です」

 

田中「華丸さんは、とても男らしくて、稽古を重ねるごとに本当に先生に見えてくるというか、ドシっと構えていらっしゃるので頼もしく思っています」

 

華丸「有難うございま~す」

 

星野「私は、もともと華丸さん演じる武勝コーチを“慕っている”という役柄なので、そういう目で見てはいたんですけど、どんどん素敵に見えてきました。さっき聞いたら5キロ痩せられたらしいので、それもあったのかなぁ?と思ったんですが・・・、痩せた理由を聞いたら『女子高生にモテたかったから』って言われました(笑)」

 

華丸「理由はヨコシマですが(笑)」

 

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素敵な女優陣からは、お褒めの言葉ばかりが並び、好印象といった感じだ。

続いて、本作ではヒールな役どころ、理事長役の宇梶剛士、調子のいい顧問役の金子昇、学食の料理人役の斉藤優に本作への意気込みや思いを尋ねると…

 

宇梶「人を愛する心を持ち合わせていない人物ですよねぇ。仲良くしたいのに、役作りとして楽屋では斉藤優さんの揚げ足を取ったりしてますが・・・。でも、せっかくですから、影が光を縁取ると言いますか、皆を追い詰めて、俺が登場する度にこの舞台を楽しみに博多座へ来られたお客様がシーンとしてしまう(笑)・・・くらいの芝居を積み重ねていけたらと思っています」

 

斉藤「僕も稽古期間中に、差し入れの饅頭で5キロ増えたんで、学食の料理人としての役作りは完璧です(笑)。是非期待して頂きたいです」

 

金子「間違いなく、おもしろい舞台なので!いっぱいお客さんが来るように、宣伝お願いしま~す!」

 

全員「軽いな~(笑)」

 

金子「そういう役柄なのでねっ(笑)」

 

と、それぞれがインタビュー中も役柄そのままの雰囲気で答えるというサービス精神を見せ、役としてもかなりの仕上がりを感じさせるやり取りが続いた。

 

松永「私は稽古中に客席から舞台を見たりもしたんですが、“ブラバン”のみんなが素晴らしくて!鳥肌が立って、気を抜くと涙が出そうになってしまうので、これをぜひ体感しに来ていただきたいですね」

 

武内「本当に素敵な皆さんの中に私も立てるのがスゴイことだなと思って稽古をしていました。先輩方、頑張ります!」

 

是近「自分は新聞記者の役なんですけど、(取材中の記者を前に)リアルにメモを取るんだな~って思いました」

 

華丸「今もまだ役作り!?(舞台中に持っている手帳)あれはカンペじゃないんだ?」

 

是近「カンペじゃないです!(笑)」

 

全員「え~?(笑)」

 

キャスト全員の和気藹々とした空気感からは、カンパニーとしてのチームワークには何の問題もナシ!という雰囲気。そんな中で、稽古中も少し間が空くとスグに指揮棒を振る練習をして見せていた華丸だったが、その指揮の仕上がりに質問が及ぶと…

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華丸「テープなどで聴いて練習をしているのと生演奏は違っていまして、“生”になるとテンポがあっているのか遅れているのか分からなくなりました。しかも、女子高生の純粋な目でこっちを見られているので、追い詰められますしね(笑)。僕の方から先頭に立ってリズムを取っていかないといけないなと思っています。ただ、みなさんには背中しか見せてないですが、内側(を向いた僕の顔)は・・・どれだけ強張っているか見せたいくらいです(笑)」

 

稽古のちょっとした合い間にも練習に余念のない華丸の真面目な部分が、本番でいかに仕上がっているかも見どころとなる本作。出演者全員が絶賛する作品であることが分かる理由には、現役の精華女子高校吹奏楽部員たちによる生演奏を語らずにはいられないようで…

 

星野「音楽で始まって音楽で終わるのですが、この舞台を通して、音楽の力ってスゴイなと思いました。音楽と芝居が見事にマッチした舞台ですし、それだけで満足して頂けると思います」

 

華丸「女子高生も毎日交代で出てくれますし、マンネリがないんです。いつ観に来ても初日のような雰囲気が役者一同にも出るだろうと思うから、いい意味でアマチュアの皆さんとのコラボを楽しんで頂けます。学生の頃、実家の近くが中学校だったので、ブラバンの演奏が聴こえるんですよ。だから当時は『うるせえ・・・ブラバン』くらいの気持でいたんですが(笑)、今回、一歩その中に踏み込むと吹奏楽部は素晴らしい世界だったと知りました。うちにも娘が二人いるんですが、どちらかに吹奏楽をさせておけばよかったな~と思うくらい素晴らしい部活ですし、音楽の素晴らしさも今さらながら再確認させて頂いています」

 

「この舞台は素晴らしい要素がいっぱいあって、もちろん音楽も素晴らしいし、役者も演出も素晴らしいですが、大道具もぜひ見て頂きたい!セットの転換もすごく迫力あるんです。博多座だけでの公演なんて勿体ないから、東京は帝劇で、大阪は梅芸でやって頂きたい」

 

華丸「えぇ?!(笑)、まだ博多座で1回もやっていないのに?(笑)」

 

「いやっ、本当に!舞台慣れしている私が演じていて涙が出て来て鳥肌が立つんですから、きっと皆さんも感動なさると思います。ぜひ、記事には『東京は帝劇、大阪は梅芸』と書いてもらうように!(笑)」

 

華丸「すみません・・・校長命令ですので、そう書いていただいてっ(笑)。26日まで毎日が初日の“ブラバン少女”。ぜひ観に来て下さい!」

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取材会の最後、華丸の指揮のもと、急遽“新幹線カルテット”の4人(※1)が生演奏を披露する場面では、取材陣一同からも「オ~ゥ!!」と言う声と共に拍手が沸き起こり、生徒役以外の出演者たちも微笑みを浮かべ、温かい気持になったまま取材会は終了した。

初日を迎えて数日が立ち、あらゆる化学反応が起きだしている頃かもしれない本作。素晴らしい生演奏と素晴らしい演技、全てはその目で確かめて頂きたい!

 

取材・文/ローチケ演劇部(シ)

 

【公演情報】

『熱血!ブラバン少女。』

熱血!ブラバン少女。

 

作・演出:G2

 

出演:博多華丸、星野真里、田中美里、金子 昇、宇梶剛士、森田順平、鳳 蘭

宮﨑香蓮、入来茉里、神田朝香、上野 遥、

武内由紀子、斉藤 優、是近敦之、松永玲子 他

 

ゲスト出演:精華女子高等学校吹奏楽部

 

【あらすじ】

十二年前、武勝為成(博多華丸)が顧問を勤めていた西北学園吹奏楽部は、コンクールの

全国大会に出場するほどの名門校だった。しかし、とある理由で武勝は学園を去ってしまう。

以来、吹奏楽部も鳴かず飛ばずの状態に。

吹奏楽部のOGで、今は学園の臨時職員を勤める生島聡美(星野真里)は武勝に吹奏楽

部のコーチとして戻ってきてほしいと懇願する。武勝は学園を去ってからというもの、音楽

からは遠のいていた。だが、思いがけない出会いが重なり、武勝は再び学園へ戻ってくるこ

とを決意する。武勝の独特な熱血指導により、まとまり始めた吹奏楽部はみるみる力をつけ、

世間の注目を集めていく。そこへ、密着していた新聞記者が武勝の秘密を嗅ぎ付けてしまう。

その秘密とは…。

 

公演期間3/4(土)~26(日)

※公演日時の詳細は下記ボタン『チケット情報はこちら』からご確認下さい

 

会場博多座

 

料金A席12,000円 B席7,000円 C席4,000円

※特B席の取扱いなし

Lコード:82512