・インタビューしちゃいました!! 2015-05-15 00:00

「フィガロの結婚」~庭師は見た!~新演出 井上道義&廣川三憲 インタビュー

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音楽界と演劇界が出会うオペラ
モーツァルトの名作が新たな歴史を刻む

 

 日本のクラシック音楽界と演劇界の雄、指揮者・井上道義と演出家・野田秀樹がタッグを組んで、全国10カ所でモーツァルトの名作オペラ「フィガロの結婚」を上演する。この企画は、井上と親交の深い関西の病院の院長が「フィガロの結婚」を、とリクエストしたことに端を発し、「“夢の遊眠社”時代から野田さんの舞台をよく観ていて、ファンレターも書いたことがあるんです」と言う井上たっての希望で実現。一流のオペラ歌手たちに交じって、俳優・廣川三憲が庭師アントニオ役で歌い演じるのも話題だ。

井上「普通、オーディションでは楽譜を見て歌うのですが、廣川さんは暗譜で演技がついていて、音程も良く声量もあって完璧でした。僕があまりにも『良い』と言いすぎたせいか、タイトルに『~庭師は見た!』という副題がついちゃった(笑)」

廣川「僕はカラオケで歌う程度で専門的な訓練を受けたことはなく、オペラのオーディションがどんなものかも知らなかったんです。50歳を過ぎたら大きな挑戦の機会もそうない。せっかくだから本番のつもりで楽しもうと考え、庭師風の格好をして臨みましたが、まさか受かるとは思ってもいませんでした」

井上「廣川さんのような人材を求めていたんです。そもそもモーツァルトの時代は今みたいに専門的に歌を勉強した人ばかりではなかったから、オペラにも役者がやる役と歌手がやる役が混在しているんですよ」

 

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 舞台は黒船来航に沸く長崎。イタリア人の伯爵夫妻が小姓を連れて構えた屋敷内で、ドラマは展開する。

廣川「僕たちはお屋敷に仕える日本人の使用人。フィガロ(フィガ郎)やスザンナ(スザ女)は伯爵らとはイタリア語で会話しますが、僕が演じるアントニオ(アントニ男)は日本語で演じます。加えて観客に向かって語り部的に『こういう時代のこういう方々で』としゃべったりします」

 

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 つまり、外国人歌手は外国人役、日本人歌手は日本人役を演じるのだ。

井上「日本人がオリジナルどおりの『フィガロの結婚』を演じるより、時代背景を変えて日本で起きたことにするほうが、自由になれるのではないでしょうか。今回、イタリア語と日本語がごちゃ混ぜで、しかも日本語部分は野田さんがかなり書き直したんです。音楽的にも成立するよう、話し合いを重ねましたね」

 

 この作品は、イタリアと日本のカルチャーの出会いの場であり、オペラと演劇の出会いの場でもあると言えるのかもしれない。

廣川「演劇の感覚だと、延々同じ歌詞を歌いつづけるアリアなどは、もちろん歌は素晴らしいんですけど、展開がない分ちょっと長いなという印象も受けるんです。今回はそういう場面にことごとく演劇的なアプローチがなされ、意表を突く様々な面白い仕掛けも加えられています」

井上「繰り返しが多いというのは、僕も感じることがある。でも、良い歌ならばずっと聴いていたいはずでしょう。人間は心のなかで何度も『好き』と言ってから口にするわけで、それが音楽になっているとも言えます。野田さんもそこは分かっているからこそ、庭師が行き来して『どっちでしょう?』とやるんです」

 

 オペラファンも演劇ファンも楽しめる、千載一遇の機会となりそう。

廣川「稽古場で歌を聴かせていただいていても、そのすごさに『うわーっ』となります。ストーリーも親しみやすいので、オペラファンはもちろん、オペラ未体験の人にも楽しんでもらえると思います」

井上「きちんと歌える良い歌手が、マイクなしで歌います。音楽としての魅力を守りながら、野田さんにやりたいことをやってもらうために、危ない橋をがんばって渡っているところですよ(笑)」

 

インタビュー・文/高橋彩子
Photo/家老芳美
構成/月刊ローソンチケット編集部

 

【プロフィール】

井上道義
■イノウエ ミチヨシ ’46年、東京都出身。’07年、オーケストラ・アンサンブル金沢音楽監督および石川県立音楽堂アーティスティック・アドバイザーに就任。実験的企画に挑みつづけている。

廣川三憲
■ヒロカワ ミツノリ ‘62年、山口県出身。静岡の劇団で活動後、上京。’95年より劇団NYLON100℃の劇団員として活動。外部公演にも積極的客演し、ドラマなど映像作品にも活動の幅を広げている。

 

【公演情報】
全国共同制作プロジェクト
モーツァルト 歌劇「フィガロの結婚」~庭師は見た!~新演出
(全4幕・字幕付 原語&一部日本語上演)
■日程&会場:
2015/5/26[火]~11/14[土]
■料金:
【石川】SS¥12,000 S¥10,000 A¥7,500 B¥5,000
【大阪】S¥18,000 A¥12,000 B¥10,000 C¥8,000
【兵庫】A¥12,000 B¥9,000 C¥7,000 D¥5,000 E¥3,000
【香川】全席指定 ¥8,800(一般)/¥2,000(小学生~高校生)
【神奈川】S¥12,000 A¥9,000 B¥6,000 C¥4,000
【東京】SS¥12,000 S¥10,000 A¥8,000 B¥6,000 C¥4,000 D¥3,000 E¥1,500
【山形】S¥10,000
【宮城】未定
【宮崎】SS¥8,000 S¥6,000 A¥4,000 B¥3,000 B席/U25割¥1,500
【熊本】S¥8,000 A¥6,000

 

【発売情報】
■一般発売中: 石川・大阪・兵庫・香川・神奈川・東京
■6/13[土]発売: 山形・宮崎
■7/18[土]発売: 熊本

※宮城公演の詳細は後日発表

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