・インタビューしちゃいました!! 2015-03-06 10:12

日本総合悲劇協会Vol.5『不倫探偵~最期の過ち~』 天久聖一&松尾スズキ インタビュー

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天久×松尾が“キュン”とさせる

ちょっぴり大人の大人計画

 

 松尾スズキが作・演出を手がけるプロデュース公演“日本総合悲劇協会”。通称“ニッソーヒ”の、なんと11年ぶりとなる新作は、松尾初のひとり芝居「生きちゃってどうすんだ」(2012年)でもタッグを組んだ、天久聖一との共同脚本・演出作品となる。

松尾「ひとり芝居のときは悪いところが何もなかったですね。かつてテレビやラジオも一緒にやっているんですが、もともと天久くんのことはすごく書ける人だと思っていて。まあ、漫画家ではないですね(笑)」

天久「漫画家になって2年くらいで仕事なくなっちゃいましたからね(笑)。前回のひとり芝居のときは、松尾さんと一緒に並走しながら作ったって感じ。でもニッソーヒはどれも名作揃いなので、そういう意味でのプレッシャーは大きい。ただ今は楽しみのほうが強いです」

 

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 天久いわく、「普段の大人計画よりも若干大人な大人計画」と表現されるニッソーヒ。本作でもそういった面は感じられそうだが、松尾の頭に第一にあったのは……。

松尾「今回はまず、僕が出たいなって思いが強かったんです。誰も主演で使ってくれないから、自分でやるしかないなと(笑)。舞台俳優って仕事は、やっぱり自分のなかでひとつの核になっているもの。そのためにも俳優として失敗を恐れず、自分を追い込んでみたいと思ったんです」

天久「俳優の松尾さんって、圧倒的に色気がありますよね。これは本作のテーマでもありますが、“雰囲気がある”。今回はカッコいい松尾スズキを、いやらしいくらいに押し出していきたいと思います(笑)」

 

 全体のトーンとしては、かつて天知 茂が演じた明智小五郎シリーズのような、ハードボイルドなものになるという。それは今までの大人計画にも、ニッソーヒにもないタイプの作品だと言えそうだが、実は天久のなかには、松尾作品ファンにうれしいあるアイデアが……。

天久「これまで松尾さんの舞台で取り上げられてきたテーマやモチーフは、どんどん盛り込んでいきたいと思っています。松尾さん作品が好きな人が観たら、『あっ、これも入ってる!』みたいなこともあると面白いかなと」

 

 圧倒的な個性により、他に類を見ない劇世界を作り上げてきた松尾。彼にとって天久の存在は、自分の作品にどんな変化やプラスが与えているのだろうか。

松尾「僕はもともと漫画家志望で、それに挫折して芝居を始めた人間。つまり既存の演劇的な約束事をあえて破って、色んなことをやってきたつもりです。でも気がついたら、やっぱりある方法論のなかで成熟しようとする自分がいて……。そんなとき、漫画家になれなかった男が、漫画家になりつづけられなかった男と出会った(笑)。そういうもともと演劇に対するこだわりも、固定観念もない者同士っていうのは、これまでとはまた違う、面白い舞台を作れるんじゃないかと思うんです」

 

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 今回松尾が演じるのは、依頼人とすぐ不倫関係に陥ってしまう探偵・罪十郎(つみじゅうろう)。そのキャラクター性にも、このふたりの共通点が見える。

天久「キャラはすごく強いと思います。リアリティというよりかは漫画。やっぱりそれはお互いの根底にあるものなので」

松尾「徹底的に作り込んだ世界っていうのも、演劇のよさのひとつだと思うんです。リアルなだけがリアルじゃないというか。だから僕は、いまどきの“リアルっぽいほうがカッコいい”みたいな風潮を、断固阻止していきたいと思います!(笑)」

 

 さらに“キュン”とする部分も感じられるという、この「不倫探偵」。最後に天久が、非常に印象的な誘い文句で締めてくれた。

天久「松尾さんをはじめ、このキャストの方々と不倫しに来ませんか?(笑)」

 

インタビュー・文/野上瑠美子
Photo/遠崎智宏
構成/月刊ローソンチケット編集部

 

 【プロフィール】

■天久聖一
アマヒサ マサカズ ‘68年、香川県出身。‘89年に漫画家としてデビュー。演劇脚本、小説執筆、映像制作など多方面で活躍中。代表作として「バカドリルシリーズ」などがある。

■松尾スズキ
マツオ スズキ ‘62年、福岡県出身。「大人計画」主宰。作家、演出家、俳優。舞台作品のほかテレビ番組や映画の製作も手がける。4月4日[土]公開の映画「ジヌよさらば~かむろば村へ~」では、監督・脚本のほか出演もしている。

 

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