・インタビューしちゃいました!! 2016-01-08 09:35

パルコ・ミュージック・ステージ「ショーガール」 川平慈英&シルビア・グラブ インタビュー

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陽気なキャラクターでおなじみの川平慈英が“ニヒルな二枚目”に、
華やかな歌やダンスで魅せるシルビア・グラブが“地味な女”になる舞台!?

 

 故・福田陽一郎が演出、木の実ナナ&細川俊之が出演し、1974年から15年もの間ロングランを続けた伝説的な舞台「ショーガール」。この作品に並々ならぬ思い入れを持つ三谷幸喜、そして福田の教え子でもある川平、シルビアによる新しい「ショーガール~こんな出会いも悪くない~」が昨年、幕を開けた。探偵と依頼人が繰り広げるショートミュージカル「淋しい探偵」と、耳なじみのあるポピュラーナンバーで織りなすショータイムで構成された本作。実力派の2人によるクオリティの高い芝居とショータイム、合計約1時間というコンパクトさ、開演は22時という大人のための企画が口コミでも話題を呼んだ。そしてこの度、アンコール公演が決定! 川平、シルビアに意気込みを聞いた。

 三谷版「ショーガール」の初演となった2014年8月の公演は、同じパルコ劇場での「君となら」の終演後、日本家屋などのセットをそのまま使うというユニークさが光った。今回は上演時間を夜8時(休日は昼3時開演もあり)からに早めた単独公演となるが…。

シルビア 前回の、セットをそのまま使うというのは斬新だなと思いましたね。三谷さんも、それありきでストーリーを考えてたと思うんですよ。

川平 今回は僕らの単独公演だからどこまで変えるのか、まだ全然読めないところはあるんですよ。でもおそらく、セットなんかはシンプルなものにはなると思うんです。それは別に予算がないっていうわけじゃなくて(笑)、僕ら人間で勝負する感じになるんじゃないかと。

シルビア 言っても、ジェイ(川平)は派手ですからね。

川平 人のこと、言えないんじゃない? シルビアも派手派手じゃない。

シルビア 作品中では、浮気調査中の探偵に追われる“地味な女”を演じましたけども(笑)。

川平 内容に関しては、まだ稽古も始まっていないんですが…アンコール公演ということで「ショーガール2」ではないことは間違いないんですよ。

シルビア でもおそらくショータイムの部分で直しを入れたり、まったく同じにはしないと思うんですよね。

川平 違ったら責任取れないですけど(笑)、前回より上演時間を少し長くするんじゃないかと。三谷さんなので、初演をフルコピーするわけがないと思うんですよ。絶対に何らかのプラスαがあるんじゃないかな。

シルビア チケット代も初演と比べて少しアップしてますしね。何かしらお客さんに還元しなくちゃ。

川平 じゃあその金額分、シルビアの衣装がきわどくなる(※ショータイムにはレオタードの衣装も着用)ってことで(笑)。

シルビア ちょっと待って! あれよりきわどいのはどうしたら…? ジェイがパンツ一丁になるとか?

川平 (爆笑)。でも、アンコール公演では何らかのヴァージョンアップはすると思いますね。特に後半のショー部分は僕らとしても曲を増やすとか、変えていけたらと思ってます。

 

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前回公演より (撮影:阿部章仁)

 

――初演は22時開演でロビーではアルコールの販売もあるなどユニークなサービスも話題を呼んだが、その反響を本人たちはどうとらえていたのだろうか。

シルビア 開演時間に関しては22時なら絶対観に行けるしありがたかったっていう人と、ちょっと遅すぎるっていう人と、意見が半々だったんですよね。家族連れの方には厳しかったと思うんですけど、社会人ならみんな来れる時間でしたもんね。

川平 だから、やっぱり大人の雰囲気がありましたよね。たまに、いい感じにほろ酔いのお客さんから「よっ!いいね!」みたいな掛け声なんかもあって(笑)、それはちょっとうれしかったな。今回は20時開演だけどお勤めしてても観に来られるでしょうし、ファミリーでも休みの日に昼公演がありますしね。

 

福田版「ショーガール」を観てきた川平、そしてリアルタイムでは経験していないものの「ショーガール」の世界に憧れていたというシルビア。2人の中でも今回のアンコール公演というのは自然な流れだったのだそう。

川平 一回こっきりじゃダメでしょう!というのは、僕ら自身も思ってましたね。

シルビア せっかく初演までこぎつけたので、続けてやりたいって言う風には考えてしまいますよね。

川平 やはり「ショーガール」というブランド=ロングラン、というイメージですから。そのイメージを汚してはいけないっていうのはありますね。これは継続していかないといけないのではないかと思ってます。

 

そして大好評だった初演を終えて、それぞれが課題として考えていることはあるのか聞いてみた。

川平 初演で僕が三谷さんに要求されたのが“よりシンプルに、より二の線で”ってことで…

シルビア ごめん、ちょっと笑っちゃった(笑)。

川平 でもそうなんだよ、笑っちゃうぐらい二の線だったんだよ。僕って、昔は二の線だったりニヒルなイメージの役が多かった時代もあったんですけど、年々、仕事で要求されるものがいわゆる“カビラ節”的なものに変わっていって。この「ショーガール」では、そんな僕の原点に返るような…ここ10何年も要求されていなかった二の線の演技というものを三谷さんは期待されていて。今回もどこまで、普段あまり見せることのない「あれ、黙ってれば意外とかっこいいじゃん?」みたいなところを(笑)、出せるかですよね。

シルビア そういう意味では、二人とも要求されたことがいろいろありましたね。

川平 地味なシルビアっていう設定もビックリしたよね。

シルビア 最初に台本を読んで「え、そこなの?」って思ったんですけど、やっぱり三谷さんは…楽をさせてくれないなって。だから、いかに地味になれるかを追求しましたよね。でもどうしても目立っちゃうんですよ、特に顔がね(笑)。

川平 僕ら普通にやってても、くどいって言われますからね。

シルビア でもおかげで「ショーガール」以降、地味めな役のお話も来るようになったんですよ。

川平 マーケットが広がったね! 僕には二の線のお話、あんまり来ないんですけど(笑)。

 

――2人はそれぞれ、映画や舞台など過去の三谷作品にも出演。他の作品とは異なる熱量をこの「ショーガール」での三谷から感じることはあったのだろうか?

川平 三谷さんって、この作品に限らずですけど、自分自身の失敗を許さないというような志の高さを持っている方だと思うんですよ。そういうテンションを、初演のときに感じたかな。

シルビア あと、台本はきっちりあるんだけれどもショーの歌やダンスについてはいろいろ相談しながら進めていったので“みんなと一緒に作った感”はすごくありますね。

川平 他の作品でも面白い演技をすれば「それ、いいね!」って取り入れてくれる柔軟性はあるんですよ。それ以上に「ショーガール」ではみんなでどうしようか?っていう相談もしたし、三谷さんも僕らに歩み寄ってくれた部分があって。舞台づくりで役者とこういう形でタッグを組んで作るっていうのは、この作品くらいじゃないのかな?

シルビア 本編に歌が入ってくる部分なんかは、わりと私たちにまかせてもくれましたしね。その上でこうして欲しいというような希望を出されたり、音楽担当の荻野(清子)さんも含めて4人で一緒に作った感じはあったと思います。

川平 初演のときはいろんな意味で、三谷さんが苦労している姿を見ましたよね。「ショーガール」というブランドを最大限にリスペクトしつつ、おなじみの“三谷ワールド”も反映させたものにもしたいという思いがあったと思いますし。まだ明かされてないですけど、今回、何か三谷さんの中で隠し玉があるんじゃないかと思う。だからよりパワーアップした三谷版ショーガールをお届けできるんじゃないかな。

 

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前回公演より (撮影:阿部章仁)

 

初演では川平が振付や構成を担当したほか、作品づくりにあたってさまざまな提案をしたという二人。このアンコール公演で挑戦してみたいこととは…?

川平 僕はね、楽器をやりたいなあ。イメージ的にシルビアはベースなんだよね。

シルビア そういうことは早めに言ってください(笑)。

川平 テイスト・オブ・ハニーっていう黒人女性2人のグループがあるんだけど、あの感じが似合うと思うんだよね。ベンベンベンベン…(とベースを弾くフリ)あ、それとも2人でダブルギターでいこうか? 僕、エアギター超上手いんだよ(笑)。ZZ TOPみたいにギター回しちゃうか。

シルビア 回しちゃう? なんなら千秋楽で壊しちゃう? …勝手に話を進めてますが(笑)。

川平 もし本番で僕らが楽器弾いたらこのアイデアが通ったということなので、本番をお楽しみに! 弾いてなかったら、ごめんなさい(笑)。

シルビア 私はやっぱり、ショーの部分をヴァージョンアップさせたいというのがありますね。

川平 タップやっちゃおうよ。

シルビア タップシューズに履き替える時間があるのなら、ぜひ! 前回、ジェイがタップ踏むシーンがあったから「シルビアはタップやらないの?」っていう声もあったりしたし。

川平 お客さんが喜んでくれることを素直に考えれば、アリじゃないかなって思う。やっぱりタップが入ると、ショーがゴージャスになるんですよ。お客さんの年齢層が若干高めっていうこともあると思うんですけど、やると「おおっ!?」みたいな反応はあるし、拍手なんかも起こってね。いずれにしても稽古中にいろんなアイデアは出していくと思います。

シルビア 前回も「絶対却下されるでしょ」と思うような提案を、三谷さんが「いいね!」って言ってくれたりして、アイドルっぽい振付だとかを本番でもやりましたもんね。

 

――この三谷版「ショーガール」の特筆すべき点は、演劇やミュージカルファンはもちろん、川平やシルビアの同業者である役者たちからも高く評価されたということ。2人の同世代の役者たちはもちろん、若い世代でも“憧れの舞台”として名前を挙げる者は多い。

川平 あくまでも力技のゴージャスさではなく、洗練された感じやクオリティの高さを見てもらえたのかなとは思います。

シルビア そうね。力技は20代とか30代の若い方々にまかせてね(笑)。

川平 前回はいろんな仲間が観に来てくれたんですけど、中井貴一さんが「海外に行かなくても渋谷の公園通りでこんなショーが観られるんだ、うれしいよね」って言ってくれて。その言葉に、すごく気分が高揚しましたね。僕らも、きっと三谷さんも“してやったり!”みたいな気分になったし。

シルビア そういう言葉を、若い方々も含めていろんな方に言ってもらったんですよ。

川平 もしかしたら若い世代のミュージカルをやってる人たち、例えば井上芳雄くんとか大塚千弘ちゃんとかがそのうち「ショーガール」を引き継いでやったりしてね? 宮本亜門さんの舞台じゃないけど、“AチームBチーム”とか作ったりして。

シルビア “ヤングチームとオールドチーム”?(笑) いや、でもしばらくはBチームに渡したくないですよね。10年後ならありかもしれないですけど…?

川平 10年後じゃ、僕は還暦がっつり過ぎてるよ(笑)。でもこの作品はね、人生の痛みを知ってる世代の人間がやったほうが伝わるんじゃないかな。僕も身体と頭が追いつく限りずっとやりたいですし、そういうものになっていくんじゃないかと思います。

シルビア それこそ、還暦の人にしか出せない味も絶対あると思いますし。

川平 50代以上のチームでショーを作るっていうのはなかなか難しいですよね。畑が違いますけど“打倒THE CONBOY SHOW!”の勢いで頑張らないと(笑)。

シルビア 杖つきながらでもできるように。

川平 うん、この作品はライフワークにしたいよね。

 

取材・文 古知屋ジュン

 

【プロフィール】

川平慈英
■カビラ ジエイ ’62年、沖縄県出身。’86年にミュージカル「MONKEY」でデビュー。サッカーキャスターの活動と並行して、「雨に唄えば」(’96年)、「オケピ!」(’00年)、「Shoes On!」(’00年~)など数多くの舞台や映像作品に出演している。

シルビア・グラブ
■’74年、東京都出身。’97年に「Jerry’s Girls」で舞台デビュー。以降「アイ・ガット・マーマン」(’00年~)、「エリザベート」(’01年~)、「レ・ミゼラブル」(’05年~)などミュージカルを中心に活躍中。1/15[金]~AGAPE STORE「七つの秘密」に出演。

 

★「ショーガール」新スポット動画

 

【公演情報】

パルコ・ミュージック・ステージ
KOKI MITANI’s SHOW GIRL
「ショーガール」
~こんな出会いも悪くない~

日程・会場:
2016年3月13日(日)~3月22日(火) 東京・パルコ劇場

 

【チケット発売情報】

プレリク先着先行:12/23(水・祝)12:00~1/14(木)23:59
一般発売:1/16(土)10:00~

 

★詳しいチケット情報は下記ボタンにて!