・観劇してきました! 2015-01-13 22:50

劇団鹿殺し 復活公演『ランドスライドワールド』

ランドスライドワールド舞台写真1
菜月チョビ海外留学のために劇団が「充電」すると聞いてからもう1年、いや正確には1年以上経ったなんて、時の流れは早すぎる!…という驚きからの、昨夜、下北沢・本多劇場。

充電前公演には残念ながら行くことができず、最後に観た劇団公演は2013年春の『BONE SONGS』だから約2年ぶりだったけれども、充電期間は小休止ではなくほんとうに「充電」で、貯め込まれたエネルギーがいまここであふれ出ているんだなと感じる熱量に満ちていた。おなじみの楽隊がかき鳴らすメロディーが、なんともうれしい(楽隊のなかでも、ブラスバンドで使ういわゆる「大太鼓」が出てくるとああ鹿殺し公演に来てるな!っと感じるのは私だけだろうか?)。

☆作品のあらすじ・登場人物は 劇団サイト ローチケ.comページ でご覧ください。

ブレーキが外れているんじゃないかと思うような全力疾走のエネルギー。
うずまく熱の合間にあらわれる、人のこころのあたたかさ。
熱さも安らぎも吹き飛ぶ、ぎりっと差し込む冷たい恐怖。

作品のキーポイントの1つが、木村了演じる三太(サンタ)が見ている“妄想”だ。
三太がひたっていた妄想の世界は、やがて三太を惑わせ、飲み込んでいく。心地よかった妄想が、逃れ出たい世界に変わり果てる。自らの妄想に抵抗しようとする三太の姿は哀れで切ない。
個人的に印象深かったのは、作品ビジュアルにも使われている「ハエ」。特に登場シーンは背筋がぞっとした。
ランドスライドワールド舞台写真4
ランドスライドワールド舞台写真2

・・・・・・・・・・・・・
この日は終演後、出演者のオレノグラフィティ・木村了にゲストとして平沼紀久が加わり、アフタートークショーが行われた(漫画家の古屋兎丸もゲスト出演予定だったが、インフルエンザのため欠席)。
オレノ・木村・平沼の3名と漫画家の古屋の共通項といえば、2012年初演&2013年には再演もされた舞台『ライチ☆光クラブ』だ。かつて、劇団「東京グランギニョル」が上演した『ライチ~』を観て衝撃を受けた古屋が舞台を漫画化。オレノ・木村・平沼は古屋の漫画を原作とする舞台に出演していたため、この日もしばしば『ライチ~』が話題に上がった。
『ランド~』も『ライチ~』も舞台上が液体でびしょ濡れになるシーンがあり、この日の公演を観た平沼は「ああ、また濡れてるなって思ってた(笑)」とか。

その後、木村演じる三太の“妄想”から、トークのテーマも「妄想」に。

 

オレノ:(劇団員)山岸門人も、小学3年生まで消しゴムと喋れた、って。
木村:おれ、壁と(喋れた)!
平沼:おれ蟻と!

 

続々と賛同の声があがり会場を湧かせつつ、木村いわく「三太は、虫メガネで“妄想”の世界を見ている……ということを頭に置いて最初から観ていると、最後にあっ!って思うシーンがある」とのことで、その仕掛けを知ったとき、鳥肌が立ったとか。ただし、「何回か見ないとわからないんじゃないかな」とも。
はい、たしかに。仕掛けに気づけなかった(た)は、その話を聞いて「うわぁ最初っからもう1回通して観せて!」と心の中でじたばた…。

・・・・・・・・・・・・・
東京公演は下北沢本多劇場にて1/25[日]まで上演中。大阪公演は大阪・ABCホールにて1/29[木]~2/1[日]まで。
とにもかくにも劇団鹿殺し、みごと復活!おかえりなさい!

 

*動画・舞台予告編*
動画は こちらから

 

*関連公演情報・1 舞台『曇天に笑う』*
劇団鹿殺し座長・菜月チョビが人気テレビアニメ舞台化に演出で参加!指定席は全公演完売!ただいま立見席・見切れ席を発売中!
原作:唐々煙(マックガーデン刊)/脚本:高橋悠也(QueenB)/演出:菜月チョビ
出演:玉城裕規 佐野岳 百瀬朔ほか
公演日程:プレビュー公演…2015/2/19[木]・20[金]、本公演…2015/2/21[土]~3/1[日]
会場:天王洲 銀河劇場
お申込みは こちらから

 

*関連公演情報・2 『自作自演 第12回』*
アフタートークで話題にのぼった舞台『ライチ☆光クラブ』。舞台原作コミックのもととなる作品を上演した劇団「東京グランギニョル」を立ち上げた飴屋法水と、2012・2013年の舞台化で脚本・演出を手がけた江本純子があいまみえる!ただいまチケット発売中!
出演:飴屋法水×江本純子
トーク聞き手:徳永京子(演劇ジャーナリスト)
公演日程:2015/2/2[月]19:00
会場:東京芸術劇場 シアターイースト
お申込みは こちらから

 

*おまけ*
アフタートークでも話が出ていましたが、『ランド~』の作中、『ライチ~』ではおなじみのアレによく似た音が何度か出てきます。お聞きのがしなく。

 

写真・和田咲子
文・ローチケ演劇部(た)