・取材してきました! 2017-06-13 16:53

「錆色のアーマ」 稽古場レポートが到着!

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「錆色のアーマ」気合と期待が高まる稽古場に潜入!

 

舞台発のメディアミックス展開を図っていく前代未聞の“逆 2.5 次元”プロジェクト「錆色のアーマ」の開幕が迫ってきた。
EXILE/FANTASTICSのパフォーマーとして活躍中の佐藤大樹と、人気声優として注目される増田俊樹がダブル主演を務める。佐藤は4年ぶり、増田も5年ぶりの舞台出演。
気合と期待が高まる稽古場に潜入した。

「錆色のアーマ」は、戦乱の世が舞台。史実に基づきつつ、“アーマ”と呼ばれる個性的な武器を携えた孫一(マゴイチ)を頭とする「雑賀衆」の男たちが登場し、天下を手に入れようとする最強の戦国武将・織田信長と出逢うところから話は始まる。天下を手に入れようとする男たちが、企て、惹かれ、裏切り、葛藤していくそれぞれの生き様を描き出す完全オリジナルストーリーとなっている。

取材班が稽古場に到着したのは、通し稽古の10分前。

男性キャストのみで綴られる本作の稽古場は、まるで男子校の部活のようなにぎやかさ。発声練習や殺陣の返し、ケータリングでエネルギーをチャージしたりと、キャストたちは思い思いに稽古前の時間を過ごしていた。

スタッフから「開演2分前です」と声がかかる。スタートのタイミングは増田がキッカケとなる。徐々に喧騒が収まり、皆が舞台に熱い視線を送る。増田が演じる織田信長が舞台上に現れ、通し稽古が始まった。

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―― 鉄砲ひとつで戦乱の世に名乗りを上げた孫一という男がいた。
その鉄砲技術を手中に収め、天を食らおうとする信長という男がいた。
始めのうち、信長は孫一たち雑賀衆を利用しようとし、孫一もまた故郷の村を襲った信長を嫌い憎んだ。

信長暗殺を企み、信長の袂に潜り込んだ孫一率いる雑賀衆は、次第に信長の思惑を知り、悲しみを知り、やがて信長とともに天下統一の夢を抱きだす。
信長は、孫一たちの才能に惹かれ、孫一は信長の求心力に惹かれていた。

そこに忍び寄る第三の目、顕如が率いる一向宗という存在。救済信仰を傘に信長打倒を狙い、織田家内部に謀反計画の種を蒔く。そして、自らの野心の火を抑えられぬ明智光秀は顕如と手を組んでしまう。孫一は光秀の罠に陥り、雑賀衆の仲間と完全に分断される。次第に進む信長暗殺計画。バラバラになる雑賀衆の仲間達。

すべてがその場所、本能寺へと集約されていく。

果たして、孫一と信長は、その場所で何を見るのだろうか?

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増田に続いて、佐藤が演じる雑賀衆の頭「孫一」が登場。
澄み渡る歌声を稽古場に響かせる。そして“アーマ”を携えた雑賀衆の面々が登場。彼らの立ち回りが始まる。

雑賀衆最年長で孫一を影で支える存在である「鶴首(ツルクビ)」を荒木健太朗、小柄で忍のような身体能力を持つ「蛍火(ホタルビ)」を永田崇人、義手と義足、五臓六腑のあらゆる場所が“銃”という半分機械仕掛けの奇人「黒氷(クロヒョウ)」を平田裕一郎、元は真言宗の僧だったが破戒僧になり、孫一に拾われ雑賀衆に入った巨漢「木偶(デク)」を章平が演じる。

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雑賀衆が持つ“アーマ”はそれぞれに違った細工が施されており、実に個性豊か。彼らの性格に合わせた“アーマ=武器”は、舞台から飛び出してくるかのようなド迫力だ。

神里優希が演じる見た目は女のような美少年「アゲハ」、崎山つばさが演じる一団をリードするエリート「不如帰(ホトトギス)」も加わり、立ち回りは激しさを増す。孫一を中心に、“アーマ”を携えた雑賀七人衆が並び立つところはカッコイイのひと言!

歌とダンス、そして立ち回りと華やかに始まるオープニング後の、雑賀衆のやり取りが微笑ましい。様々な事情で雑賀の村へやってきて徒党を組んだ彼らの結束は固い。役と同様にキャスト同士の仲も親しくなっているようで、通し稽古が始まる前の時間には、皆で爆笑する姿が見られていた。

そんなにぎやかな雑賀衆だが、増田が演じる信長が登場すると舞台の空気が一変。緊張感が漂う。栩原楽人が演じる、人懐っこさと残酷さを持ち合わせた「明智光秀(アケチミツヒデ)」との会話から、信長の気性と器が窺い知れる。

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だが、それにも怯まない孫一が、信長に勝負を提案。
ラップ調の掛け合いの歌で、テンポ良くシーンを展開させていく。

今回のステージは生演奏。ステージ上手には多種に渡る楽器が収まっており、役者と呼吸を合わせた心地良い音がストーリーを彩っている。

勝負に決着が付き、信長に召し抱えることになった雑賀衆。
その頃、一向宗の長で戦国の世の救世主として民の信仰を集める不老不死の美形僧侶「顕如(ケンニョ)」と、比叡山延暦寺先頭の精鋭集団で四聖がひとり「数珠坊(ジュズボウ)」が、不穏な動きを見せていた。

輝馬の演じる顕如が物憂げな表情で歌い上げ、市瀬秀和の演じる数珠坊を翻弄。彼らが黒幕となり、信長と孫一の背後に迫っていく。

全編を通して、歌やダンスがふんだんに織り込まれており、見るものを飽きさせない。歌は登場人物の心境に沿った曲調で展開され、ミュージカルとしての楽しみどころも備えている。その後に続く雑賀の村のシーンではHIPHOP的なダンスが披露され、佐藤の魅力が最大限に活かされていた。

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配下になったものの、反発心を隠さない孫一と信長の戦略が交差する。
比叡山の襲撃を任され、そこを好機とばかり信長を討とうとする孫一。

史実を交えながらのスピーディーな展開だが、各人物の個性と思惑がハッキリしているため、フラストレーションなくストーリーに集中出来る。時は戦国時代だが、ただの時代劇ではなく、進軍の描写や演出にも工夫が凝らされている。既製のキャラクターに縛られないイキイキとした役者のやり取りにも注目だ。

比叡山を襲撃する大立ち回りでは、雑賀衆それぞれの見せ場が用意されている。彼らが放つ必殺技の数々は、今後続くプロジェクト展開でも見たくなるようなド派手さ。アップテンポの曲に乗せて立ち回りとダンスが炸裂するシーンは見応えバッチリ。

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SE(効果音)が付くところは、稽古場では演出・元吉庸泰が口頭で表現。「ピチョン、ピチョン(雨漏りの音)」「ドカーン(爆発音)」「カキン、カキン(斬り合いの音)!」「ドーン(?)」と、後半に行くに従って熱が入り、効果音そのものの迫力が加わっていた。

キャストたちの運動量もかなりのもので、出番を終えたキャストは僅かな間を縫うようにして水分やゼリーを補給する。流れる汗も止まらない様子だったが、集中力を切らさず役と向き合う姿が印象的だった。

比叡山襲撃後、信長に歯向かった孫一は捕らえられ、牢獄へ。
雑賀の連中も愛用の“アーマ”を取り上げられ、軟禁状態に陥る。
孫一の身を案じる不如帰のソロ、信長と顕如が対峙するデュエットも聴きどころだ。

その後、顕如に野心を焚き付けられた明智光秀の暗躍が始まり、物語は一気にクライマックスへ。佳境に入るにつれて、場面に出ていないキャストたちも含めた全員の熱が板の上に集中していく。

本能寺で繰り広げられる衝撃の展開は、ぜひ劇場で。

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通し稽古終了後、佐藤は汗だく。増田はその場に暫し留まっていた。
だが、2人で向かい合うと笑顔を交わし、「おつかれ」と声を掛け合っていた。
久々の舞台とは思えない主演2人の存在感も、是非客席で確かめて欲しい。

取材・文:片桐ユウ

 

【公演情報】

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「錆色のアーマ」

日程・会場:
2017/6/8(木)~18(日) 東京・AiiA 2.5 Theater Tokyo
2017/6/22日(木)~25(日) 大阪・森ノ宮ピロティホール

原案:「錆色のアーマ」プロジェクト
脚本:なるせゆうせい
演出:元吉庸泰

出演:
佐藤大樹(EXILE/FANTASTICS)  増田俊樹
荒木健太朗 永田崇人 平田裕一郎 章平 神里優希 崎山つばさ
栩原楽人 
市瀬秀和 輝馬 他

 

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