・インタビューしちゃいました!! 2015-07-15 00:00

「靑い種子は太陽のなかにある」高畑充希 インタビュー

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寺山修司が遺した幻の音楽劇に
現代の若き才能たちが挑む

 

 14歳のときに、山口百恵トリビュートミュージカル「プレイバックPart2~屋上の天使」で主演デビュー。以降も6年にわたってタイトルロールを務めた「ピーターパン」、難役とされる三重苦の少女ヘレン・ケラー役に挑んだ「奇跡の人」など、舞台でのキャリアを着実に積み重ねている高畑充希。その演技力と美声はドラマ、映画でも発揮され、今、最も勢いのある若手実力派女優との呼び声も高い。

 そんな彼女が、この夏、「靑い種子は太陽のなかにある」で初めて蜷川幸雄演出の舞台に立つ。聞けば、蜷川作品の観劇歴はすでに10年以上。そして長年の願いがかなっての出演だという。

高畑「蜷川さんの作品は小さいころから観てきたので、私のなかでは近いところにずっとあったんです。始まりは確か、藤原竜也さんと鈴木 杏さんが出ていた『ロミオとジュリエット』(2004)だったんじゃないかな。女優になってからは、一緒にお仕事をしたいと密かに思いつつ、劇場に足を運ぶたびにご挨拶をさせていただいてました(笑)。稽古場にも一度。それがようやく蜷川さんとじっくり同じ空間にいさせてもらえる機会を与えられて、今はもう、楽しみで仕方ないです。でも稽古はまだまだこれから。だから夢がかなったというよりは、野望の入り口に立ったという心境ですね」

 

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 「靑い種子は太陽のなかにある」は、1960年代後半~70年代に興隆したアングラ演劇の旗手として知られる寺山修司が1963年に書き上げ、半世紀後の2013年になって発見された幻の音楽劇だ。市役所の計画によって、スラムの人間たちのためのアパート建築が始まったある町。物語は主人公の青年・賢治が、建設現場で事故死した朝鮮人作業員の遺体隠ぺいを目撃するところから動きだす。スラムの住人たちによるドタバタ騒ぎ、そして、賢治とその恋人・弓子を待つ悲しい運命。それらが寺山の反体制的な視点から描かれる。

高畑「そんなお話に、歌や踊りというミュージカル的な要素を入れる貪欲さがすごいなぁと。ただ、みんな生きるだけで必死だった高度成長期という、ゴチャゴチャしているけど熱気もあった時代を描いているからこそ、逆に音楽が入り込める隙があったんじゃないかとも思います。整然とした現代のほうが、実はミュージカルや音楽劇が作りづらいのかもしれない。登場人物たちが背負っている影にしても、それを明るい音楽で包むことで、さらにもの悲しさが増してくるような気がするんです」

 

 演じるのは弓子。彼女は深夜のレストハウスで働くウエートレスで、工員の賢治とは夕暮れのわずかな時間にしか会うことができない。

高畑「携帯電話もない時代。待つしかないというもどかしさが、むしろ私にはすてきに感じられます。それに、『くっつくの? くっつかないの?』と言いたくなるような賢治との最初の距離感がとても甘酸っぱくてキュンとしてしまう(笑)。とはいえ、事件のせいで二人の間に溝ができてしまい、幸せな結婚という彼女の夢が遠いていくのは、やはりかわいそうな気持ちになるんですけど……。弓子を演じるにあたっては、極端な話、賢治のことだけを見ていればいいのかなと今は思っています。だって、彼女は賢治のことが大好きで、賢治とばかり話しているし、話す内容も賢治のことばかりだから(笑)。賢治役の亀梨(和也)さんともたくさん話し合いながら、賢治と弓子のいい空気感を作っていきたいですね」

 

 「この作品が持つ夏っぽい熱量と湿気を感じてもらえたら」と話していた高畑。23歳の夏に、女優としての大きな経験をまたひとつ重ねる彼女の姿をぜひとも見届けたい。

 

 

インタビュー・文/大高由子
Photo/堀内慶太郎
構成/月刊ローソンチケット編集部

 

 

【プロフィール】

高畑充希
■タカハタ ミツキ ‘91年、大阪府出身。数多くの舞台作品に出演し、NHK連続テレビ小説「ごちそうさん」「問題のあるレストラン」(フジテレビ系)などで注目を浴びる。7月18日[土]から、WOWOW連続ドラマW「煙霞-Gold Rush-」に出演。

 

 

【公演情報】

「靑い種子は太陽のなかにある」
公演日程・会場:
≪東京公演≫2015/8/10[月]~30[日] Bunkamura オーチャードホール
≪大阪公演≫2015/9/4[金]~13[日] オリックス劇場
料金(税込):
≪東京公演≫S席¥12,500、A席¥8,000、B席¥6,000(大阪はS・A席のみ)

ローソン、ミニストップ店内Loppiで発売日よりお求めいただけます。
東京Lコード:31763
大阪Lコード:51571