・インタビューしちゃいました!! 2017-02-15 00:00

龍よ、狼と踊れ~Dragon,Dance with Wolves~
松崎史也&谷口賢志 インタビュー

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新撰組を中心に熱い人間ドラマと奇想天外な物語が交錯!?

 

 “仲間の中に紛れた人狼を1人ずつ見つけ出して処刑する”という、パーティなどでおなじみの人狼ゲームを舞台上で展開しながら、キャストがアドリブで物語を紡いでいく『人狼 ザ・ライブプレイングシアター(以下人狼TLPT)』。同シリーズをきっかけにした、新感覚の舞台が誕生!脚本・演出を手掛け、自らも山南敬助役を演じる松崎はこう語る。

松崎 「人狼TLPTシリーズの中で、2013年と2014年に新撰組を主役にした作品を演っていまして。本来は仲間同士の絆が強いはずの集団の中に裏切り者がいるという設定なので、例えば土方歳三が沖田総司を斬らなきゃいけなかったり…といった感じで、かなり独特な世界観の作品だったんですね。それを観たゲームクリエイターのイシイジロウさんから“人狼新撰組”のオリジナル作品を作りたい、というお話があったんです。」

 

 今回の作品化にあたり、イシイや松崎が出演を熱望したのが鬼の副長・土方を演じた谷口だったという。

松崎 「人狼新撰組では、処刑=切腹になるんですけど、他の隊士に切腹を申し付けるとして、そこでどういう間を取って、どういう表情をして、どういう言葉を、どういう声色で言うかによって、お客様へ伝わる度合いや背景までが違って見えるんです。賢志さんはそこに常に気を遣って演じてくれる俳優ですね。この作品ではみんながみんな、そういうところに“ぞっとし合える”関係性でやれているんですよ。かと思えば、めちゃくちゃ熱血で「俺ぁそんなのわかんねえよ!」みたいなことを言ってくる直球な演技に、もの凄く感動したりすることもありましたし。」

谷口 「僕ら役者の中でも想像を超える“ホームラン”が打てた作品だったんです。それはアドリブ劇だからこそ生まれるホームランで、本気で出演者全員がその役の中で生きて、公演を重ねるごとに役が作られていった。なのでこの作品には強い思入れがあって、もう一度演じたいと思っていたんですが、だからこそ半端な気持ちでは演じたくないですし。今回は台本がある中で、お芝居としてもう一度みんなでホームランを打ちたいと思っています。」

 

 本作『龍よ、狼と踊れ ~Dragon Dance with Wolves~』は混乱をきわめる幕末の京の都が舞台。とある目的を持って来日した異国の姫・麗貴人と、彼女の護衛役を買ってでるハジメ(若かりし頃の斎藤一)を、新撰組隊士たちが助けようとする。そんな彼らの前に立ちはだかるのは、土佐の重要人物・坂本龍馬や、すでに死んでいるはずの佐々木小次郎、石川五右衛門、武蔵坊弁慶といった伝説の剣豪たちで……?という、史実と壮大なファンタジー要素を絡めた物語になっている。

 人狼新撰組のメンバーはほぼ続投となるが、主役のハジメに赤澤遼太郎、沖田総司役に青木空夢、そしてオーディションで選出されるヒロインの麗貴人役など、フレッシュな面々を据える。

 さらに坂本龍馬役には『仮面ライダー龍騎』など、さまざまな作品で活躍するベテランの萩野崇が、伝説の剣豪たちにも舞台『戦国BASARA』シリーズなどで活躍するアクションを得意とする役者たちが扮するとのことで、手に汗握る戦闘シーンが期待できそうだ。

松崎 「今回はキャリアのある俳優たちだけで固めるのではなく、まだ経験の少ない方とも一緒にやりたいと思っていて。演劇には次の世代につなげていくという側面も必要だと思っているので、“みんなの背中を見せたい”と思うような方にお願いしたいと思って赤澤くんには声をかけました。ヒロインをオーディションで選ぶ形にしたのもそういう意味合いで、どんな演技をするか未知数な方を入れたほうがより稽古する面白みが膨らむので。」

谷口 「武蔵坊弁慶役の高橋光さんですとか、新撰組の敵役にもすばらしいキャストが集まってくださったんですよ。人狼TLPTの公演では戦うシーンはそれほど多くなかったので、“いつかこの新撰組でちゃんと討ち入りに行きたい”という願いもみんなの中にあったと思うんです。今回の舞台では本気で戦えるということで、もう楽しみでしかないですね。」

 

 ちなみに本作は今後、アニメ化やゲーム化といった“逆2.5次元”とも言うべきメディアミックス展開も予定しているそう。

松崎 「普段は二次元の作品を舞台化する仕事もしていて、それでいいこともたくさんあるんですけど、逆に行き詰まりを感じることもあるんです。今回は自分たちがそのまま原作になれるので、キャラクター作りを稽古で徹底的にやれて、そのキャラクターに人間味を持たせられるというのがすごくありがたいですね。」

谷口 「史也が言うように、この作品は特に俳優が生き様をさらけ出しながら演じるものなので、キャラクターを超えた人間味を届けたいという気持ちがあるんです。キャラクターありきでそれに合わせていくような作品への取り組み方が多いなか、こうやって自分たちが何年かかけて作ってきたキャラクターを作品の中で爆発させられるというのは、俳優として非常に幸せなことだと思いますね。」

 

 また公演期間中には本公演のほかにスペシャルステージとして、人狼ゲームのルールに則った本来の「新撰組×人狼TLPT」ヴァージョンも一部キャストを変更して上演される。毎回何が起こるかわからないこのヴァージョン、前回公演ではこんなハプニングも起こったのだそう。

松崎 「前回でいうと初日に局長の近藤勇が死んじゃうっていう大事件があったんですけど、後ろで新撰組12人みんながもう嗚咽するくらい泣いてて(笑)。男がそんなに泣くことなんてないですよね?しかも舞台が始まって10分くらいのタイミングで。」

谷口 「大の大人が大号泣ですよ!? たぶん他のメンバーもみんなそうだったと思うんですけど、この人狼新撰組に対する愛がありすぎるんですよね…。今回はそれがお客様に対して押し付けがましくならないようにやりたいなと思っています。」

 

 公演内容やメディアミックス展開のユニークさはもちろん、仕掛ける側のキャストとスタッフの熱量にも惹きこまれる本作。

松崎 「エンタテインメント的な意味でも文芸的な意味でも、誰もまだ観たことがないような、まだ演劇はここまで行けるんだ!と思ってもらえる作品だと思います。それは脚本もそうなんですが、集まってくれた役者の気概も半端ないんですよ。演劇ってやっぱり役者ありきだと思いますし、そこにとにかく自信をもってお届けできる作品なので、ぜひ観に来てください。」

谷口 「俳優が苦しんでお客様を楽しませるというのが演劇の本来の形だと思っているんですが、この公演に関しては、自分たちも舞台上で死ぬほど楽しんで、なおかつお客様にも楽しんでもらえて…しかもそれが、新しい観点で楽しめる芝居になっていると思うんです。ぜひその新しいものが生まれる瞬間に、みなさんにも立ち会っていただけたらと思います。」

 

インタビュー・文/古知屋ジュン
Photo/会田忠行
構成/月刊ローチケHMV編集部 2月15日号より転載
※写真は本誌とは異なります。
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掲載誌面:月刊ローチケHMVは毎月15日発行(無料)
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【プロフィール】

松崎史也
■マツザキ フミヤ ’80年、東京都出身。役者、演出家として活躍中。主な演出作は『プリンス・オブ・ストライド THE LIVE STAGE』(’16年)など。

谷口賢志
■タニグチ マサシ ’77年、東京都出身。’99年俳優デビュー。2/19[日]まで、舞台『真・三國無双』(全労済ホール/スペース・ゼロ)に出演中。

 

【公演情報】

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龍よ、狼と踊れ~Dragon,Dance with Wolves~

日程・会場:
2017/3/8(水)~20(月・祝) 東京・CBGKシブゲキ!!

詳しいチケット情報は下記ボタンにて!