・インタビューしちゃいました!! 2017-08-14 11:25

フエルサ ブルータ 「Panasonic presents WA ! – Wonder Japan Experience」岸谷五朗 インタビュー

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とんでもない“謎の舞台”『フエルサ ブルータ』最新作「WA!」が世界初演
チーフ・アンバサダーの岸谷五朗が超個人的期待含みの魅力を語る!

「前情報いっさい無しで本当は観てほしい!?」
「躍動感、人間力、アート。疾走70分が終わった後もハイテンション!」

 

頭上の巨大プール、壁を打ち砕き走る甲冑の侍、宙吊り忍者、煙と芸者の無重力な舞い。
……それっていったいなに!? 今年5月の製作発表以来、いったいなんだ、なにが始まろうとしているんだと巷に期待と疑問を渦巻かせている『フエルサ ブルータ WA!』。正体は、アルゼンチン発の“究極の体(感)型エンターテイメント”。いや、そんな言葉では表しきれない。「フエルサ ブルータ」とはスペイン語で「獣のような力」を意味し、日本人の想像を凌駕するスピードとパワー大爆発の“身体五感フル活性の全身全力アミューズメント”と言うべきか。


フエルサ ブルータは世界30カ国60都市以上で500万人以上を動員。世界のクリエーターやセレブたちもこれを体験し刺激されている。今回の新作、フエルサ ブルータ 『Panasonic presents WA ! – Wonder Japan Experience』は、芸術監督ディキ・ジェイムズが日本にインスパイアされて創作した。2014年以来、2度めの来日公演となるが、ディキの発想の源が“日本”であること、世界に先駆け“日本初演”であることは、今回ならではの大きなポイントだ。
もちろん日本にも多くのファンが存在し、今回公演においてチーフ・アンバサダーに就任した岸谷五朗もその一人。フエルサ ブルータの前身のショー「ビーシャ・ビーシャ~デ・ラ・グアルダ」を現地アルゼンチンで観た時からすでに注目しており、「フエルサ ブルータ」に進化した姿もニューヨークで体験している。製作発表では「あまりにも圧倒され、地球ゴージャス(自身の演劇ユニット)の『HUMANITY』でワイヤーアクションをパクりました!」と暴露したほど。そんな彼だから誰よりもフエルサ ブルータの魅力を熟知している、ということで、開演直前の期待と前情報を聞き出そうとインタビューした、……のだが。

 

岸谷「こうして取材してもらって、パンフレットもできて(取材のテーブルには完成したばかりの美しいパンフレットが用意されていた)、それで言うのは恐縮なのですが……、フエルサ ブルータって本当は、情報もなにもないまま観に行ってほしいんですよね」

 

え、いきなりですか!!?
しかし、話を進めるうち、この言葉に込められた岸谷の深~い思いを知った。フエルサ ブルータを何度も体験し、魅力を知り尽くす彼ゆえの強烈な第一声から始まったインタビューをお届けしたい。

岸谷「本当は、まったく前情報なしで、品川のステラボールに行ってほしいんです!」

 

――いきなりそう来ましたか、なるほど。……どうしましょう。

岸谷「いやいや、お話しますよ(笑)。5月の製作発表の後、僕の周囲でも“どういう舞台なの?”“あれはいったいなに?”というクエスチョンがやっぱり多かった。わからないから教えてくれと」

 

――確かに、日本人は未知なものに対して事前情報を知りたがりですから。

岸谷「そうですよね。とはいえ、僕自身のフエルサ ブルータ経験からある程度の心構えはお話できると思います」

 

――では、お願いします。いよいよ開幕迫る中、岸谷さんのいまのワクワク度とは?

岸谷「すでに何度も観ているので、ディキ・ジェイムズさんの創る最新作を観るのも楽しみだけど、どちらかというと、日本のオーディエンスを観たいと期待しているんです。日本のオーディエンスがいったいどんな反応を示すのか……。それが一番の楽しみですね。というのも、昨年、僕はブロードウェイの『キンキー・ブーツ』に参加しました(日本版演出協力・上演台本)。ブロードウェイでこれを観た時、絶対に日本のお客さんがブロードウェイのお客さんになれる作品だ!と思ったので、数年を費やし、日本公演を実現した経緯があるんです。ブロードウェイと日本の舞台・演劇の違いは、一番は“お客さん”だと思っています。向こうでは食事やお酒の後に遊びに行く感覚で劇場に行くので、日本とは環境もテンションも違うのですが、『キンキー・ブーツ』なら日本のオーディエンスをブロードウェイ並みに湧かせることができる!と考えました」

 

―拝見しましたが、我を忘れてかなり盛り上がりました。

岸谷「ありがとうございます。その感じ、フエルサ ブルータにも共通しています。僕が最初に観たのは20数年前、前身の「ビーシャ・ビーシャ」でしたが、“謎の舞台”をやってるよ、と囁かれて行ったのが初めてで」

 

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――最初の触れ込みは“謎の舞台”。情報いっさい無しですね。

岸谷「謎の舞台、とんでもないショー、と聞いたかな。その時の僕は各地で、オフ・ブロードウェイも沢山観ていましたが、そんな中でも“とんでもないショー”ってなんだろう?と。(パンフレットを指さし)こんなに説明されていない状態ですから、もうワクワクのドキドキ。会場に入って背中でバーンと扉が閉められた、さあ、ここでいまからなにが始まる!? と思ったその瞬間から魅力は始まっていたんです。ワーワー、キャーキャーとひしめき、ぶつかり合う観客たち。僕の目前で繰り広げられたのが宙を舞う「ビーシャ・ビーシャ」でした。そこから進化して「フエルサ ブルータ」になった。彼らがみっちりと稽古したものは確かなものです。ディキ・ジェイムズがやってるんですからね。すでに今回もなんの不安なくパフォーマンスを観せられる状態に仕上がっていると思います。あとは、この「WA!」が日本のオーディエンスと一体化する瞬間を観たいばかりで……!」

 

――岸谷さんの最初の衝撃を教えてください。

岸谷驚きの連続でした。なにが起きるんだろう、次はなんだろうと、次々と展開するパフォーマンスのワンブロックごとに好奇心は高まり、惹き込まれていく。なんというか、センスが光る暴力性、なんです。素晴らしいセンスの中にバイオレンスを感じ、エロスも感じ、ほんと、次の一瞬になにが起きるかまったくわからない。一瞬一瞬に観客が沸いて、五感ぜんぶで感じ取って、終わってからもみんなテンションが高い!、劇場の中の空気すべてが操られるように動かされる、だから観客もどうっと動く。大きな魅力ですね」

 

――実際にブエノスアイレスに行かれ、ルーツを感じられたとか。

岸谷「この町でなければ生まれなかっただろうと思いました。本能、情熱、野生。町には芸術を振りかざす人々がいて、ふつふつと湧き出すものを出したくてしょうがない。それで町に描いたら芸術の町になっていき、男女の情熱的な交わりを求めてタンゴが発祥し、サッカーが好きすぎて命がけの喧嘩になる怖さもあり……。日本の僕らの平和な環境からは生まれないものだとも思いました」

 

――ディキさんと同じ演出家として対談もされ、なにを感じましたか。

岸谷「この作品のテーマはこれです、これをわかってほしいんです、なんて、彼はぜんぜん思ってないんですよ。そうではなく、一生懸命に自分の回路をフル回転させ、魅せたい瞬間を見つけたら、それをお客さんに魅せるだけ。魅せたい瞬間が畳みかける連続なんです。もう、理屈じゃない。こういう種類のステージはいまの日本にない、やろうというカンパニーもない。でも、世界にはこんなショーもあるんだよ、アルゼンチンのブエノスアイレスにあるんだよって、だから日本の皆さんにどうしても観てほしいんですよ」

 

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――過去作品も見て、今回のお稽古もご覧になったとのことですが、あえて、見どころの前情報を教えていただくとすると?

岸谷「たとえば、巨大プールの話が出ていますね。プールを下から観るなんてフエルサ ブルータにしかない視点です。プールの中で人間が波紋を作り出し、それが芸術的な波紋となって広がっていく。水の芸術ってこんなに美しいのか!と、まるで絵画を見るような瞬間に圧倒されると思います。波紋だから一瞬一瞬変わっていきますよね、それがまた面白い。“獣のような力”のフエルサ ブルータですから根源は躍動感や本能なんですが、アートにも見えていくんです。あとですね、人間の持つエネルギーがすごく大事で、ある意味、原始的に作られている。人間が道具を運び、人間が積み上げていく。大きな枠組みでは非常にお金をかけメカニズムな仕掛けを用意していますが、お客さんから観えるところはすべて人力です。その躍動感や生々しさもいいんですよね」

 

――日本の演劇ファンに対し、演劇的な見方のポイントなどはありますか?

岸谷「そうですね、たとえば、演劇には、ここは絶対に外せない、という見せ場があるとするじゃないですか。照明・音楽・俳優力・舞台美術の4発がバン!と揃う、それは、演出から言えばお客さんに鳥肌を立たせたい瞬間です。そのためにスタッフも俳優も緊張して稽古を積んで、本番でバンッ!といった時の快感はたまらないものになる。でも、それって2時間の演劇のなかでは数カ所のものでしょう。ディキ・ジェイムズはね、常に常にそうした瞬間を狙っていると思うんです。毎瞬がそれなんですよ。だから70分なのでしょう、人間のこのショーにおける集中力のギリギリ限界。だから、終わってからもハイテンションの延長線上にいられるんです。演劇のお客さんって座席に深く腰掛け、芝居が始まると、なんというのかな、一回、観客と俳優の“バトル”みたいなものから始まるじゃない(笑)? フエルサ ブルータはまったく違う。初めから圧倒的に魅せられて飲み込まれる感じで、コンサートやライブで“わー!”と前のめりになっていくのに似ているかも」

 

――なるほど、フエルサ ブルータはオールスタンディングなんですよね。観る場所で違いはありますか?

岸谷「位置は確かに関係あります。でも、どの位置にも、その位置からしか見えないものが見えてくる。スポットライトが当たっているのも美しいし、逆光もまた美しいのと同じで、それこそ、自分のいる場所が自分の特別な席になると思います。あと、今回の日本公演が特別なのは、ステラボールであること。2階席があるでしょう、フエルサ ブルータを上から観られるなんて世界初ですよ。観客とプレーヤーが一緒になって同化していく様を俯瞰で見る最高の席だから、僕はまず、最初の一回は2階席で絶対に観ますね。なにせ僕がどうしても今回観たいのは、日本のオーディエンスですから(笑)」

 

―観ようかどうか迷っている人にぜひメッセージを。

岸谷「今回の「WA!」はとてもいいタイトルだと思います。日本の「和」に、驚きの「わ!」もあるし、ディキ・ジェイムズが非常に楽しんでいますね。彼は奈良や京都の日本の各地をしっかり見て回り、時間をかけて構想を練ったそうです。僕としてはすべての方に観てほしい。年齢も関係ない。童心に戻るかもしれないし、プールの水なんかかぶっちゃったら、もういいや!と現実を忘れられそうだし。たとえば、僕らくらいの年齢の夫婦で行くとして、初めは相手を気にして目が合わなかったのが、だんだん解放されて目を合わせる瞬間が出てくるとかもあるかもしれませんね。自由と芸術の瞬間を味わってください、そんなみなさんを僕はぜひ観たいと思っています!」

 

取材・文:丸古玲子

 

【公演情報】

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フエルサ ブルータ
「Panasonic presents WA ! – Wonder Japan Experience」

日程:
8/1(火)~9/30(土) 

10/1(日)~12/10(日) <追加公演>

会場:品川・ステラボール

料金:
<8/1(火)~9/30(土) 公演>
1Fスタンディング ¥7,600 2F指定 ¥10,800 2FVIP席 ¥15,000 

<10/1(日)~12/10(日) 公演>
1Fスタンディング ¥7,600 2FVIP席 ¥15,000

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