・インタビューしちゃいました!! 2016-03-15 00:00

月刊「根本宗子」第12号『忍者、女子高生(仮)』  根本宗子 インタビュー

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演劇界の次代の担い手が
引きこもりの人間を描く

 

 劇場を喝采で沸かせた『もっと超越した所へ。』から1年。月刊「根本宗子」が再びザ・スズナリに帰って来る。タイトルは『忍者、女子高生(仮)』。このひょうひょうとしたタイトルセンスに思わずニヤリと笑みが浮かぶ。

根本「忍者の話なんですかって聞かれるんですけど、別にそうではなくて(笑)。引きこもりの人を書きたくて、それで何かを忍ぶという意味で忍者って単語が浮かんだんです」

 

 根本宗子といえば、今や次代の演劇界を担うと目される存在。面倒臭い恋愛から抜け出せない女性心理を、鋭い言葉と圧倒的な熱量で描き切る才能には高い評価が上がっている。

根本「女のリアルを切り取るのがうまいって評価していただけるのはうれしいんですけど、私としては男の人の書き方のほうがリアルだなっていうのがあって。恋愛の話を書いてるときも、ダメな男のほうに焦点を当てているつもりなんですね。だから今回はより男の人を書くことに徹してみようかなとは考えています」

 

 出演者は『もっと~』とまったく同じ8人が揃った。

根本「劇団員じゃないのに、まったく同じ人たちが揃うってなかなかないですよね。男性陣は『もっと~』で初めて一緒にやった方が多かったんですけど、1年経って印象が変わった人もいるので、そういう変化も出たら面白いかなって」

 

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 感情のうねりが渦となり、劇場まるごとを巻き込んでしまうようなエキサイティングな作風で、若者から目の肥えた演劇ファンまで多くの観客の心をわしづかみにしてきた。稽古場でもさぞかしエモーショナルな作品づくりが行われているのだろうと思ったら意外な答えが返ってきた。

根本「私の演出は、稽古場で一から百まで細かく決めます。そういう意味では限りなく役者の自由度の低い演劇。だから何回でも同じことができる役者さんでないとできません。今回のキャストは、私の周りの中で最も再現性の高い役者が揃った。このメンバーでもっと難易度の高いことがやれたら」

 

 岸田國士戯曲賞の最終候補にも選ばれ、その存在感は増すばかり。だが、当事者はあくまでも冷静だ。

根本「自分のなかで特に変化はないんですよ。どこに行っても、人から〝(岸田に)残ったね〟って言われるだけで、私のなかでは今のところまだなんにも変わっていないです」

 

 ただ大好きな演劇がやれることが、心底楽しい。この溢れんばかりの演劇愛こそが、根本宗子の魅力だ。

根本「今年はもう1本本公演があるんですけど、そっちでは久しぶりに重たい題材をやろうかなって。だから思い切りくだらないことをやるのは、今年はこの公演が最後になるかもしれない。エンタメ性の高いものをやるつもりなので、普段小劇場になじみのない人もぜひ来てほしいです。小劇場って夏は暑苦しいし、冬はコートとか荷物が邪魔になるじゃないですか。だから春って小劇場デビューにはぴったりの季節なんですよ(笑)」

 

インタビュー・文/横川良明
Photo/篠塚ようこ
撮影協力/R mydish
構成/月刊ローソンチケット編集部 3月15日号より転載

 

根本宗子さんよりコメント動画到着!

 

【プロフィール】

根本宗子
■‘89年、東京都出身。‘09年、19歳で月刊「根本宗子」を旗揚げ。劇団本公演の他、ドラマ『女子の事件は大抵、トイレで起こるのだ。』の脚本を手がけるなど精力的に活動。

★ローチケ演劇宣言!では毎月根本宗子さんのコラムを連載中♪

 

【公演情報】

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月刊「根本宗子」第12号『忍者、女子高生(仮)』

日程:2016/4/23[土]~5/1[日]
会場:下北沢 ザ・スズナリ

★詳しいチケット情報は下記ボタンにて!