・インタビューしちゃいました!! 2015-11-27 20:34

「とりあえず、お父さん」藤原竜也×本仮屋ユイカ×浅野ゆう子×柄本 明 インタビュー

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 豪華キャストが集結し挑む、イギリスの国民的喜劇作家、アラン・エイクボーンの傑作コメディ『Relatively Speaking(邦題:とりあえず、お父さん)』。エイクボーン氏の作品はこれまでに30カ国以上の言語に翻訳され世界中で愛されているが、これまでに残された70以上の作品のなかでも初の大ヒットとなった作品が、この1965年に発表された『とりあえず、お父さん』だ。

 藤原竜也、本仮屋ユイカ、浅野ゆう子、柄本明という、実力、知名度共に申し分ない4人の俳優、そして個性派俳優としての活躍はもとより、翻訳ものコメディの演出家として非常に高い評価を得ている劇団東京乾電池の結成メンバー、綾田俊樹の演出で注目を浴びている今作。12月の本番に向け、出演者4名の意気込みをお伺いすべく、稽古場にお邪魔した。

 
■面白さのなかにある「難しさ」

――今作は翻訳もののコメディですが、台本やご自身の役柄について率直な感想をお伺いできますか。

藤原 誤解や勘違いが次の誤解や勘違いを生んで突き進んでいくような単純な面白さに見えるのですが、綾田さんとの稽古のなかで、計算された構成で作り上げられていながら、オシャレだったりする、そうした細かな要素を感じるようになってきています。僕の演じるグレッグもこれまでにない役柄で、綾田さんが、余計なものをそぎ落としてくれるような、よりリアリティある、ストレートな表現の演出をつけてくださるので、新しいものに取り組んでいる気持ちを強く感じています。今回4人だけの芝居なので難しい部分もありますね。それぞれが一見シンプルに見えるこの作品に、悩みながら挑んでいます。

本仮屋 戯曲を最初読んだときは、独特な世界観があるこの面白さが伝えられるのか不安なところもありましたが、藤井さんの台本を読んだらメチャクチャ面白い(笑)!上演時間を体感するために、同じタイミング、時間をかけて台本を読むように言われたんですが、面白すぎて1時間ちょっとくらいで読んでしまいました。昔のイギリスのお話なのに、2015年の今の時代でも笑える内容ですし、何よりもこの魅力的な先輩方と同じ板の上に立てる感激と光栄を強く覚えました。恋愛をメインにした作品に関わることが少なかったので、登場シーンからいきなりバスローブだったり、キスなんかもしちゃったりして…男女のそういう生々しいことをするのが初めてなので、チャレンジです。

(一同爆笑)

本仮屋 なんか…家族を呼んでもいいのかな?とか。ドキドキする部分もたくさんあるので。

藤原 それはいいでしょう、呼んでも(笑)。

本仮屋 ホントに?(笑)大胆で、ウソをついてでも守りたいほどグレッグに魅力を感じて愛しているところにとても共感しています。「絶対にバレない、やってやる」というジニィの大胆さや気の強さが魅力だと思っているので、皆さんの胸を借りて、思い切ってやりたいと思います。

浅野 私は原作者のアラン・エイクボーンという方を存じ上げておらず、不勉強で恐縮なのですが…とても面白かったんです。とても難しいということも分かっている反面、会話劇にはとても惹かれるので、ぜひご一緒したい、とお話をお受けいたしました。それぞれのキャラクターがおとぼけで面白いんですが、セレブなマダム、といった感じのシーラはどこまで理解できてるのかしら?と感じていますね。今、ユイカちゃんが「昔の作品」って言ってましたけど、柄本さんと私にしてみたらそんなに昔でもなくて…

本仮屋 (立ち上がり謝罪)「本当に失礼いたしました!!」(一同爆笑)

浅野 私にしてみたら、まだ携帯がなかった頃の話かな…くらいで、そこまで昔には感じていないんですが(笑)、「女性というのは、若くても年をとってもしたたかだなあ」という作品ですね。男性が観ると、女性ってコワイと感じるかもしれません。4人それぞれのキャラクターがとても立っているので、稽古を拝見しているのが楽しくて仕方ないです。

柄本 翻訳ものは全然馴染みがないのですが、大変な職人技の台本ですよね。役柄を探っているんだけれども、台本が面白いので非常に難しいです。2次元のものを3次元にするといろいろなものがくっついてきますし…そうしたなかで、台本の良さが出せれば、と一所懸命探しているところです。

 

本仮屋さん演じるジニィと恋をしている役柄ですが、稽古中にそういう気持ちが芽生えてきそうですか?

柄本 (本仮屋がジッと見つめるが、全く目を合わせることもなく)…いや(一同爆笑)。そりゃ、ユイカちゃんは可愛らしいからね。ゆう子さんだってキレイだし、そういう意味では役得といえば役得だよね。

 

本仮屋さんはいかがですか。

本仮屋 毎日脳内で柄本さんとデートしています(笑)。最初は、グレッグと愛し合っていることを意識しながら過ごしていたんですが、だいぶ藤原さんが夢に出てきてくれるようになったので、これはクリアしたなと。でも藤原さんに行く前に柄本さんだったことに気付きまして。今は毎日そういう気持ちで柄本さんを見つめています(笑)。でもまだ夢にはでてきてくれないので、早く出てきてくれないかなと思っています。

 

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■4人それぞれが「見どころ」

――イギリスの会話劇なので表現や言い回しが日本語のそれとは違います。難しさはどういったところにあるのでしょうか。

藤原 難しいながらも、みんな自分らしくやっていますよ。ある意味、何をやっても難しいですし、作り上げていくことは難しいです。関係性や台詞もそうですが、僕はそこまで喜劇の経験がないけれども、この作品はなかなか手ごわいんじゃないかと思います。稽古していくなかで発見できたらいいなと思いつつ、考えながらやっている段階ですね。

 

――シーラは、スマートな振る舞いや粋な台詞が多いですね。

浅野 私は翻訳物の経験が殆どなく、今回が2回目なんです。まだいまいち掴めていなくて、私自身模索しています。今は本に書いてある通りにお稽古させていただいている状態で、まだ自分の中に入ってきていない、これから作っていく感じですね。間に合えばいいんですが…(笑)。シーラのように、非常にお洒落な会話をさらっと、同じようにできるのだろうか、というところがテーマだと思っています。今しばらくお待ちくださいませ(笑)。

柄本 こういうのって答えはないので、本番に入ってもずっと探しているでしょうし、考えることそのものが面白いんじゃないかと思いますね。でもコメディって書かれるのは不利だよね(笑)。確かにコメディなんですけど、ハードルが高いというか。チェーホフやベケット、イヨネスコもコメディじゃないかと思うけれども、コメディとは書かれない。この本はそういった意味で、なかなか意味が掴めない。難しいね。

 

――本仮屋さんは久しぶりの舞台、しかも初のコメディです。

本仮屋 いつも真面目に演技しているのに笑われることが多いんですが、自分では何が面白いのかわからずにいました。それはそれで長所だし、ラッキーと思ってたんですが、今回に至ってはちゃんと笑えるポイントがあり、緻密に積み上げた結果の笑いにしていかないといけないので、習得しなくてはと思っています。コメディだからこその間合い、ここで立ち上がる、ここで歩く、というような、日常の自分とは違う衝動や生理を、綾田さんの演出に沿わせていくということに面白くチャレンジしているところです。なんでだろう?と思っても、やってみるとなるほどと発見することも多くて、綾田さんならではだと思いますし、喜劇のテンポなんだなという気がしています。

 

――諸先輩方の演技を間近で見ていかがですか?

本仮屋 最高!!最高です!本当に面白いんです。稽古だということを忘れてしまうくらい、いつものんきに見て笑い転げています(笑)。皆さんの“役を掴むための試行錯誤”ですら楽しくて、ひとつひとつのアプローチが、本当に勉強になります。

藤原 ユイカちゃんは堂々としているというか、綾田さんにいろいろと細かいことを言われながらも、考えて、必至に次に行こうとしている姿勢、がんばっている姿を目の当たりにしています。冒頭の僕と二人のシーンでは、まだ僕自身が分からないながらやっている部分があるので、不安を与えてしまっているというか、僕の方が迷惑をかけてしまっているんじゃないかと申し訳なく思っています。

 

――作り上げている最中とは思いますが、お芝居の見どころを教えてください。

藤原 そうですね、2013年の…。

本仮屋 (小声で)2015年です。

(一同爆笑)

 

柄本 なに?2013年に何かあった?(笑)

藤原 いえ…(笑)。2015年の笑い納めを柄本さんが責任をもってやってくださると思います。僕からはそれだけです。

浅野 2013年…(一同爆笑)。そうですね、どうやらチケットがスゴく売れていると聞いて、さすが藤原竜也さんだと思っています。

藤原 なんで俺なんですか(笑)。

浅野 たった4人のお芝居ですから全員が見どころですね。読んで面白いと思ったものを、耳で聴いて、目で見て、同じように面白いと感じていただくのは大変なことですから、この面白さをいかにお伝えできるかというのが課せられたテーマだと思っています。その世界を見ていただくのが見どころなのではないでしょうか。笑っていただけて初めて、私たちはやった!と思えますからね。

本仮屋 ゆう子さんがおっしゃったとおり、4人それぞれが見どころです。柄本さんの持っている、人を愉快な気持ちにさせるオーラでつい、笑ってしまいます。勘違いが勘違いを呼んで、結末はどうなるの?というお芝居ですが、勘違いが成立するのは、それぞれが見ている世界が絶対に正しいと信じているからこそ。だから笑いが起こると思うんです。お客さんもそういう風に日々を生きていることも多いと思うので、なんて人間ってバカなんだろう、なんて面白いんだろう、と楽しんでいただけたらと思います。気持ちが軽くなると思いますし、「クリスマス」という言葉も台詞中に出てくるし、ちょうどこの華やいだ時期にピッタリの“大人が贈る喜劇”です。劇場でお待ちしておりますので、よろしくお願いいたします。

柄本 今ので終わりでいいでしょう?(笑)まあ…2015年、本仮屋ユイカのバスローブが外れるか?!あとは皆さんがおっしゃった通りです。ぜひ観てください。

 

意外なようでいて、絶妙な4人の顔合わせがなんとも魅力的。現場はとても和やかで、掛け合いそのものがまるでコメディそのものだったことがとても印象的だった。

12月に天王洲 銀河劇場にて上演。2016年1月には、富山、熊本、福岡、大阪、愛知での公演も予定されている。

 

 

【公演情報】

とりあえず、お父さん

作:アラン・エイクボーン
上演台本:藤井清美
演出:綾田俊樹

出演:
藤原竜也、本仮屋ユイカ、浅野ゆう子、柄本 明

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