・インタビューしちゃいました!! 2015-09-15 00:00

月刊「根本宗子」再び第7号『今、出来る、精一杯。』第11号『超、今、出来る、精一杯。』 インタビュー

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2年前と現在の“精一杯”を
ふたつの異なる物語で描く

 

 「もともとあまり再演願望はなく、新作をどんどん書きたいほうなんです」と語るのは、自らプロデュースする“月刊『根本宗子』”での活動はもとより、最近は外部出演でもキラリと輝く個性を発揮している若手注目株の劇作家、演出家で女優でもある根本宗子。そんな彼女だが、2年前に上演した「今、出来る、精一杯。」に関しては動員数が伸びはじめるきっかけになった思い入れの強い作品だったこともあり、再演を望んでいたんだとか。しかし準備段階で新作も書きたくなり、結局1週間半ずつで連続上演するというぜいたくにも大変な道を選ぶことにしたのが、今回のW本公演のいきさつらしい。なにしろこの再演作と新作、タイトルは似ているが内容はまったく別物。物理的な問題から、舞台装置は同じものを使うことになるようだが――。

 「私、セットありきで芝居を書くの、初めてなんですよ。時間軸も登場人物も違う物語にはするつもりで、『今、出来る、精一杯。』は私の作品では珍しく男性がメインで、スーパーのバックヤードでの話。新作の『超、今、出来る、精一杯。』はまたそことは別のスーパーを経営する、ある家族の話になる予定です」

 キャストは既に根本作品に出演経験のあるメンバーが多いのだが、新作のほうには初参加の面々もいて新鮮味がある。

 「再演のほうには初演に出たメンバーもいますが違う役柄になる人もいるし、群像劇とはいえメインのカップルが初演と違う役者なので、だいぶイメージが変わると思います。新作には私が大好きな新谷(真弓)さんに久しぶりに出ていただくのと、私が演劇を始める前からファンだった加藤 啓さんが「出たい」と言っていたと小耳にはさんだので声をかけてみたら出てくださることになり(笑)。それから石橋穂乃香ちゃんは実は私と幼稚園受験の塾が一緒で。たまたま去年、出させていただいた『水の戯れ』という岩松 了さんの芝居の楽屋で再会したんですが、そうしたらこの1年間に出会った誰よりもいちばん熱烈に「出たい!」と言ってくれたんです。ちょうど新作に意志の強い女が必要で、彼女にピッタリだったから早速出てもらうことにしました」

 いつもなら自らが演じるタイプの役を石橋にあて書きし、できれば実は自分は新作公演のほうには出たくないのだという。

 

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 「自分は役者としてのレベルはまったく高いと思っていないんです。でも自分が書いた脚本をお客さんに伝えるという意味では自分以上にできる女優さんがいないから出ていただけ。だから本当言うと30歳くらいになったら出演はなるべくしないようにしたいんですよね。自分の思うことを書いてお客さんに届けるためにはかなりの熱量が必要なのに、年に何本も芝居をやっているものだから、さすがに早死にする気がしてきて(笑)。まあ、こんなにやらなきゃいいんですけどね」と身を削る思いをしつつも、あくまで新作を書き頻繁に公演を打つことに積極的な根本は、実にパワフル。そして同じ劇場、同じ舞台装置、何人かは同じキャストでまったく違う内容の芝居が数日後に観られるという今回の企画は、やはりせっかくなので両作品を観比べてほしいとも。

 「きっと不思議な感覚になると思うんですよ。私もその感じを客席で味わいたいくらい。私はいつも自分がお客さんとして観たいものを作りたいタイプなので、今回も通し稽古で『これを観る人がうらやましい!』と思えた時点で成功みたいなものです(笑)」。

 2年前の精一杯と、そこから確実にステップアップしている2015年現在の精一杯。根本の演劇への思いがたっぷり詰まった珠玉の2作品が一挙に体験できる、貴重な公演になりそうだ。

 

 

インタビュー・文/田中里津子
Photo/堀内慶太郎
構成/月刊ローソンチケット編集部 9月15日号より転載

 

 

【プロフィール】

根本宗子

■ネモト シュウコ ’89年、東京都出身。19歳で月刊『根本宗子』を旗揚げ、すべての作・演出を担当。役者として外部公演に出演したり、ラジオや雑誌への寄稿などでも幅広く活動中。

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【公演情報】

月刊「根本宗子」
再び第7号『今、出来る、精一杯。』
第11号『超、今、出来る、精一杯。』

日程・会場:
再び第7号 2015/10/23[金]~30[金] 中野 テアトルBONBON
第11号 2015/11/1[日]~8[日] 中野 テアトルBONBON

 
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