・インタビューしちゃいました!! 2015-05-20 14:55

『男(お)肉(にく)du Soleil』池浦さだ夢 ×『ヨーロッパ企画』永野宗典 インタビュー

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写真左:永野宗典/写真右:池浦さだ夢

男肉 du Soleil 新作舞台「鉄球」公演迫る!!
『男(お)肉(にく)du Soleil』池浦さだ夢×『ヨーロッパ企画』永野宗典 インタビュー

 

 皆さんはダンスと演劇を融合した舞台を繰り広げる、今関西で最もホットなダンスカンパニー『男肉 du Soleil』をご存知だろうか?

 2004年近畿大学にて碓井節子に師事し、ダンスを学んでいた学生が集まり結成され、J-POP、ヒップホップ、レゲエ、漫画、アニメ、ゲームなど、さまざまなポップカルチャーの知識を確信犯的に悪用する方法論のもと、唯一無二のダンスパフォーマンスを繰り広げているカンパニーが『男肉 du Soleil(オニク・ド・ソレイユ)』。

 彼らが繰り広げるパフォーマンスは、不思議な中毒性を持ち、「男肉飛び散る席」と名付けられた最前列は、毎回女性客で埋め尽くされるほど。そんな『男肉du Soleil』の新作「鉄球」が、京都・東京に続いて、6月6日・7日に福岡・ぽんプラザホールで上演される。

 今回、ローチケ演劇部では、『男肉 du Soleil』の団長でもある池浦さだ夢 氏と、今回の新作に客演することになった、京都を拠点に全国的に活躍をしている劇団『ヨーロッパ企画』の永野宗典 氏の二人にインタビューを敢行!カンパニー結成秘話や、ヨーロッパ企画との交流、今後の展開などを語ってもらった。

 

― まずは気になる『男肉 du Soleil』カンパニー名の由来は?

池浦「自分の大学の文化祭でダンスのオムニバス公演があって、ダンスを作る際にどうせなら団体名も作ろうか?というノリことになったんです。ちょうどその前日に、シルク・ド・ソレイユさんの『キダム』のDVDを見まして、じゃあ・・・・・・『いただこうか(笑)』ということになり、その時に男だけだったこともあって“男肉”を付け足しまして」

永野「じゃあ・・・って(笑)」

池浦「名前の語感とインパクトからつけた感じですが、シルク・ド・ソレイユに足を向けて寝れないですね(笑)」

 

― ダンスをメインとするカンパニーだが、池浦氏はもともとダンス志向だったのか?

池浦「大学に入るまで演劇もダンスもやったことなかったんです。でも、大学時代の講師で劇作家の鈴江敏郎さんという京都で有名な方がいて、自分が書いた脚本をその方に提出したら、『天才だ!』とベタ褒めされましてね。でも、次に書いて持って行ったら『この中にやる気のない奴がいる・・・お前だ!』なんて言われたんですよ。めっちゃ持ち上げられてから落とされまして・・・、そこから脚本書けなくなって、コンテンポラリーダンスに逃げるという(笑)。そして、表現としてのダンスの面白さに傾倒していき、芝居も大学でやっていましたから、その両方がミックスされて血となり肉となり・・・トータルパフォーマンス的な方向性になっていったのかな?と思っています」

 

― 男肉 du Soleilの作品に客演することが多いというヨーロッパ企画のメンバー。その中でも今回が初参加となる永野氏と“男肉”との出会いも気になるところ・・・

永野「付き合いは長いですね。劇団同士の交流は一番深いと言っていいかな?ヨーロッパ企画の映像イベントで出会って、僕が作・演出をしている舞台に呼んだりして。普通に僕は彼らのファンでした。でもね、最初は怖かったんですよ(笑)。名前からして怖いし、知り合う前に、演劇界をYou Tubeでものすごくディスっている映像があったのを見て、『ヤベ~、今度イベントで一緒だ・・・』と思って。ギャングだと思ったんですよ(笑)」

池浦「“演劇ギャング”とかね」

永野「いや、演劇とも思ってなかったよ(笑)。でも、恐れながらも何かしでかすんじゃないかという存在感から、役者としてキャスティングさせてもらって。実際に芝居を観てみたらすごくバカバカしいし、かといってダンスとか迫力があったんで、そこから夢中になって彼らを観るようになりました」

 

― 初めて一緒に舞台に立つ心境は?

永野「今回、ラップやダンスなど、自分がやったことのないジャンルにチャレンジするんですが、それらを僕は観客として熱狂して観ていて、僕からやってみたいと思って『出させて!』とラブコールしたんですよねぇ。だから自信も何もなく未知数ではありますが、今まで僕の劇団のメンバーが彼らの舞台に出ていたのを観ていて、僕が実際に彼らの舞台に立ったらどうなるんだろ?とシミュレーションはしていたので、不安な部分も勿論ありますが、刺激をたくさんもらえそうで、ワクワクしている状態です」

 

―『男肉 du Soleil』の魅力をファンである永野氏が皆に伝えるとしたら?

永野「今回は脱獄劇という設定のお話があるんですが、とにかく彼らはロング・コントをするんですよ。バカバカしいやり取りをずっとしているんです。身体をつかって汗だくになりながら、大声を張り上げて、発散的な開放的なスタイルで演じていくんです。それが壮大な前フリというか・・・、最終15分のダンスシーンがあるんですが、それまでのバカバカしさと最後のダンスシーンがあいまって、言葉じゃない興奮の領域に達してくれるんですよね。なんだろうな~、そこでカタルシスというか・・・男肉でしか感じられないものがあって、とにかくカタルシスがヤバイんです。とにかく観てもらったら分かるかな。ヨーロッパ企画の舞台と間逆とまでは言わないですが、自分達は細かい台詞のやり取りで舞台を作り出しますけど、自分らにないカラーの劇団という部分で惹かれるというところが多いのかなと思いますね」

 

― 今回の『鉄球』という作品はどういったものになるのか?

池浦「制限されていく・・・というようなイメージで作ったんです。今までは自由自在に舞台で叫んで踊って走り回って・・・ということが多かったんですが、今回は鉄球につながれていて、制限したダンスとか、手足を使わないとか、音を使わないとかなんでもいいですが、ちょっとずつ制限して枷(かせ)をつけていこうかなと」

永野「この枷(かせ)はいい具合に最後のカタルシスに効いてくるんじゃないかなと思うんですよねぇ。そうにらんでいるんです!踊りたくても踊れない!しゃべりたくてもしゃべれない!歌いたくても歌えない!とか、禁じ手を役者にかせて、そこに彼らなりの”劇”とうものが生まれるのかな~という気がしているんですよ!僕は、(取材時)まだ練習してないですけどね!」

 

― 男性だけでダンスパフォーマンスを見せる集団といえば、『コンドルズ』がいるが、意識するものなのか?

永野「似ている気はしますよね。まぁ、大まかにダンスだけじゃないというところもね?」

池浦「コントもされてますもんねぇ」

永野「なんか、同じ系風にはいるから、比較されがちでしょうね」

池浦「今までにコンドルズさんと絡みはないですが、意識するのか?と周りから言われたら、自分たちは自分たちだ…という感じですかね」

永野「男肉って、コンドルズファンの皆さんにもきっと楽しめると思うんですよね。笑いがあって踊りがみっちりあって」

 

― “男肉飛び散る席”や”絶対安全席”など、独特なチケット名から、観客がどれくらい巻き込まれるのかも気になるところ。初めて観るなら絶対安全席になるのかな?と思うが・・・

永野「(深く頷きながら)はいはい・・・・・・僕も絶対安全席で観てました(笑)。」

池浦「お客さんと一緒に踊ろうとする場面もありますし、客席に乱入することもありますから・・・そうですねぇ、安全席が一番安全ですかね(笑)」

 

― そこの安全性はきちんと守られているのか?

池浦「もちろん、お金を多くもらっていますから (笑)。ルールは結構守るタイプなんで」

永野「でもわりとね、前列の方は女性客で埋まっていて。上演中に写真撮ったりできるから、お客さんは楽しんでいるんですよ。とは言え・・・まぁ僕は安全席で(笑)。鑑賞回を重ねるごとに、前に行ってもいいかな~という変化はありましたよ?あと、仲良くもなってきたから前に行ってもいいかな?って思えるようになったというのもありましたけど、僕は舞台上で踊れないし・・・恥ずかしいじゃないですか。・・・っていうのが勝って安全席にしてしまいました(笑)」

 

― 最初から客席を巻き込もうというスタンスだったのか?

池浦「今は手拍子を煽ったりしていますが、昔はもっとハードコアというか、客席に突っ込んだり、お客さんを巻き込んで体感するというよりも、若き日は一方的に攻撃するという感じが多かったです。それが徐々にお互いのグルーヴ感をあげていく方向になった感じです」

永野「初期はそのゲリラ感が面白かったですけどね。でもだんだん彼らを好きなファンが増えてきたから、一層寄り添いあえるようになったんでしょうね」

 

― 『男肉 du Soleil』今後の展開は?

池浦「う~ん、いろんなクラブカルチャーの要素が好きで、ナイトクラブ的なアングラのパフォーマンスはもちろん、オーバーグラウンドも両方ミックスさせていますし、そういう多重的というかいろんなカルチャーの分野に向いていけるのがうちの劇団の”売り”かなと思いますから、クラブや音魂という野外イベントに出たりもしているんです。劇団だから・ダンスだから・・・と決めうちせず、ジャンルレスに展開できたらいいですね。そしてそういうものを作っていきながら日本制覇することが大切だと思っているので、北は北海道から南は沖縄までツアーをできるようになれたらいいなと」

永野「それは、コンドルズさんみたいだね」

池浦「そう、世界にも飛んで!」

永野「そうそう、世界にも行って!」

池浦「マチュピチュで踊りたいなと(笑)」

永野「ペルー凱旋公演できるとかね(笑)」

池浦「いやいや(笑)、まずは京都・東京・福岡で公演が出来るようになったので、一歩一歩地道におもしろいものを作って持っていくぞ!という気持ちです」

 

― 福岡のお客さんの印象は?

池浦「京都・東京に比べてすごくノリがいいな~というイメージですねぇ。今はもちろん京都・東京も盛り上がってくれますけど、福岡は男肉を全く知らない状態で、最初の公演からあれだけノッてくれるというのはなかなかナイですからねぇ。東京なんか、初めて公演した時は、全然…でしたね。作品が面白くなかった疑惑もあるんですけどね(笑)。ワー!って手を叩いて盛り上がってくれるまでに多少時間はかかるんですが、福岡の方はお祭り慣れしているというか、本当にノリがいいです。楽しみ方を知っているなぁというイメージです」

永野「ヨーロッパ企画の時も、既に温かいんですよね。盛り上がる・笑う準備は出来ているっていうか、ノセ上手なのか?そんな雰囲気が客席にはある気がしますから、福岡は安心してやれるっていう感じがいつもしています」

 

 今回のインタビュー記事を読み、“男肉”の世界観に興味をもったあなた!残念なことに、初心者にはやや危険な香りがする”男肉飛び散る席”は残席わずか。”絶対安全席”や通常の指定席などは発売中!『中毒性がある』と永野氏も語っていた、男肉 du Soleilのパフォーマンスを間近で体感してみては?

 

(取材こぼれ話)

 取材後、福岡の某ストリートにて撮影を行った時の話。ストリート的な?ワイルド系な?ポーズをとった池浦氏を見た永野氏が、同じように指を折ってポーズをあわせてみるも、どこかの漫画で見覚えのあるポーズに!? そこですかさず「それ・・・グワシッ!のポーズ(笑)」(池浦)。「あっ、ほんと(笑)」(永野)という、笑顔がこぼれた微笑ましいやり取りも。掲載写真はそんな瞬間をとらえた1枚でした。

 

  取材/ローチケ演劇部(延)
取材・文/ローチケ演劇部(シ)

 

 

【公演情報】

大長編 男肉 du Soleil『鉄球』 福岡公演

鉄球オモテ4

公演日時:6/6[土]19:00・7[日]13:00
会  場:福岡・ぽんプラザホール
料  金:指定席 一般2,500円/学生2,000円
男肉飛び散る席 2,000円
絶対安全席3,000円
Lコード:84769