・インタビューしちゃいました!! 2017-08-16 11:23

いよいよ8/17(木)開幕!『幽劇』 橘ケンチ インタビュー

1
橘ケンチをはじめ、味方良介や多和田秀弥、荒木宏文、高橋健介、伊万里 有ら今をときめく俳優たちが勢ぞろいするオリジナル作品「幽劇」が間もなく開幕する。

現世に“未練”を残したゴーストたちがあの世とこの世で大暴れする本作は「痛快スタイリッシュ“ゴースト”ギャングエンターテイメント」になるそうだが、果たしてどんな作品に仕上がっているのか。翌日が稽古最終日となる稽古場で、橘ケンチに話を聞いた。

 

――開幕を5日後に控えての心境からお聞かせください(8月12日取材)。
「すごくいい感じできています。稽古が明日までなので、今日と明日の2日間でどこまで伸ばせるかなっていう感じではあるんですけど。自分たちが想像していた、「幽劇」ってこういう感じかなというところには近づけている感覚があるので。いいカタチで開幕を迎えられるんじゃないかなと思います。」

 

――“「幽劇」ってこういう感じ”というのはどのようなイメージですか?
「僕の中では「スタイリッシュ」です。出演者がみんなでかいんですけど(笑)。かっこいい、大きい男たちが華麗にアクションを繰り広げつつ、それぞれの生き様をぶつけ合いながら、最後はひとつになっていくっていう。人間ドラマでもあり、青春っぽさもあり、そしてそこには人情というものが一貫して流れているので。いろんな人に共感してもらえる作品になるのかなと思います。だから実は「幽霊」っていう設定はそこまで強くないと思いますね。」

 

――作品に対する最初の印象から、稽古を経て、変化や進化した部分はありますか?
「元から人間ドラマだなと思ってたんですけど、より人間ドラマだと思うようになりました。観ていて刺さる部分があるというのは、稽古を重ねていくうちにどんどん強く感じるようになりましたね。」

 

――すごく男の世界ですよね。
「男しかいませんから(笑)。変な照れが誤解を生んですれ違ったりとか、相手のことをすごく想っているのに逆を言っちゃったりとか、男のそういういつまでもピュアでおばかなところが……そこが愛おしいところでもあるんですけど、そういうものが描かれてるなって思います。」

 

――共演の皆さんはどんな方々ですか?
「芝居が好きな人ばっかりで。みんなピュアだし、芝居に対してストイックだし、面白いし。一緒にやってて純粋に楽しいですし、日々いろんな化学反応が生まれていて。このチームはどんどん良くなっていくなって感覚があります。」

 

――勢いのある若手の役者さんが揃ってますよね。その中で橘さんは少し年上のポジションですが、芝居してみていかがですか?
「楽しいです。すごく刺激をもらうし、新しい引き出しを見せられることもあって。逆に僕が出せることもありますし。僕、初めての人と話したり、芝居したりして、新しい価値観をつくるのが好きなんですよ。それが今回は年齢とか関係ない同じ目線でできるので。すごくありがたい環境です。」

 

――それは先ほどおっしゃった“芝居を好き”とかの部分でつながっていくっていうことですか?
「そうです。それにステージに立ったら年齢なんか全く関係ないですからね。」

 

――特に印象的な方は?
「荒木(宏文)くんは以前、ドラマで共演したことがあって。そのあと、ミュージカル『刀剣乱舞』(荒木さんはにっかり青江役)で初めて生の芝居を観たんですけど、すごい存在感だし、立ち居振る舞いもきれいだし、舞台に映えるなと感じて。今回も強烈なキャラで、存在感が炸裂してますよ。ストイックですし、リスペクトできる部分がすごく多いので、同志の一人としても頼もしいです。」

 

――ドラマでの共演から印象は変わりましたか?
「変わりました。役者としてのパワーをものすごく感じています。あと、ミカティ(味方良介)は「MOJO」でTAKAHIROくんと共演していたときにすごく面白い役で。この役者さんいいなと思っていたら一緒にやれることになって。稽古場で常に明るいですし、みんなを盛り上げてくれる方です。まだ全然若いんですけど(味方さんは24歳)、常に自分の軸で堂々とどこででもできちゃうタイプだと思うので。将来すごくいい役者さんになるんだろうなって勝手に思ってます。」

 

――楽しそうですね。
「一緒にやってて楽しいです。僕もミカティも『熱海殺人事件』の木村伝兵衛を演じたので、その辺でも話が合ってます。同じ伝兵衛をやった人ってだけで親近感を覚えるし、いい意味での苦しみとか大変さとかをわかちあえる感じがあるので(笑)。」

 

――特有の仲間意識が。
「うん、ありますね。」

 

――ちなみに味方さんは台詞量がすごいですね。
「今回、すべての台詞の半分くらいをミカティが喋ってるんじゃないかな(笑)。」

 

――この作品は殺陣も多いそうですね。
「そこも見どころの一つではあります。やっぱみんなでかいので殺陣が映えるんですよ。動きがダイナミックで。」

 

――橘さんは殺陣はいかがですか?
「僕、殺陣をこんなにちゃんとやるのは初めてなんです。喧嘩のシーンとか一人で剣を持って舞うようなシーンはあったんですけど、剣を交える殺陣は初めてで。そこは自分にとってもひとつ挑戦でした。でも自分の理想として、動ける役者になりたいというのがあるので。肉体表現もしっかりできて、そこに感情も伴ってくるような。それに向けてはすごくいい経験をさせていただいています。」

 

――初めてのことを実際にやってみてどうですか?
「大変なこともありますが、楽しいことのほうが多いです。最初は、相手との距離感とか刀の振り方とか、自分が演じてリアルだと感じることと、客席から観たときの見え方の差というものをすごく感じましたね。例えば実際の距離よりあけて斬ったほうがお客さんにはきれいに見えるとか。」

 

――それはこの現場で初めて知ったことなんですね。
「そうです。これから本番でもどんどんクオリティを上げていきたいなと思っています。」

 

――相手と息を合わせることも殺陣の魅力かと思いますが、どなたと戦うことが多いですか?
「有澤樟太郎ですね。最初、「ほそっ!」「ひょろながっ!」と思ったんですよ(笑)。今回、4、5人くらいそういう人がいるんですけど。」

 

――(笑)。
「エヴァンゲリオンの初号機みたいな体型したやつが多くて(笑)。大丈夫かな?と思ったんですけど、やってみたらちゃんとしっかりしてました(笑)。」

 

――ストーリーとしてはどのあたりがポイントになりそうですか?
「この作品ってそれぞれのキャラクターが抱く“未練”がテーマになっているのですが、自分が未練を残して死んだときにそれをいかに断ち切るかっていうのは、日常での“後悔”とかともリンクして考えることができますよね。“未練”が描かれるけど、その奥に「後悔をしないような生き方をしたい」というテーマがあるので。それが伝わればいいなと思っています。」

 

――ちなみに橘さんご自身は未練や後悔とはどう向き合われますか?
「昔はよく後悔したりしてましたけど、最近はもう一切しないです(笑)。一瞬、後悔したとしてもすぐ切り替えるし。」

 

――それは後悔するより前に進んだほうがいいということでしょうか?
「後悔してそこで止まる……止まるのが大事なときもあるんですけど、今はそういう時期じゃないなと思うので。後悔や未練が一瞬生まれても、それをどうすればよかったかを考えて次に生かそうと思うくらいですかね。」

 

――何かきっかけがあったんですか?
「特にこれっていうものはないんですけど、長い間かけてだんだんと変わっていった感じです。自分が「常にいい状態でいたい」って思うようになってから、切り替えを早くするとか、あまり過去にとらわれないとか、自分の中でいろんな習慣ができましたね。」

 

――今回、上海公演もありますが、オリジナル作品を上海で上演することはどう感じていらっしゃいますか?
「アウェイといえばアウェイなんですけど、ここから「幽劇」が始まるので。長い目で見て、「幽劇」を浸透させていくという意味では大事な一歩だなと思います。“初めて観る世界”を届けて、(観客が)どういうふうに思うのかっていう。その感覚を一番大事にしたいなと思いますし。そこでちゃんと感動を届けられる第一歩にしたいなって。この感覚はいつも以上に強い気がします。」

 

――ということは、「幽劇」はここから始まっていくということなんですね。
「という風にしたいと思っています。本当に今回の公演次第だと思いますけどね。それで上海の皆さんが喜んでくれたら次もできるかもしれないし。これから日本発のエンターテインメントとして、いろんな壁をどんどん超えて発信していきたいと思っていますし、可能性のあるプロジェクトだと思うので。今後に向けて頑張りたいです。」

 

――ということは、今回は特に見逃せない公演ですね。
「はい。本当に第一歩なので。ぜひ見逃さないようにしてほしいです。」

 

インタビュー・文/中川實穗

 

2

 

【公演概要】
『幽劇』

日程・会場:
8/17(木)~23(水) 東京・日本青年館ホール
9/1(金)~3(日) 上海・虹橋芸術中心
※ローソンチケットでの上海公演の販売はございません。

作・演出:久米伸明(東京クリエイティブ連合)

キャスト:
橘ケンチ
味方良介
多和田秀弥
高橋健介
伊万里 有
田中涼星
有澤樟太郎
三浦宏規
井阪郁巳
和泉宗兵
荒木宏文

黒川恭佑
大岩剣也
隈本秋生