・取材してきました! 2016-05-27 11:55

舞台『曇天に笑う』稽古場レポート

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舞台『曇天に笑う』稽古場レポートが到着!

 

先日開催された製作発表記者会見には多くのオーディエンスも参加し、益々注目が集まっている舞台『曇天に笑う』。初日を目前に控え、熱気が高まる稽古場に潜入した。その模様をレポートする。

都内某所の稽古場にローチケスタッフが到着した時は、殺陣指導の横山一敏が殺陣付けを行っていた。

『曇天に笑う』は、明治維新後の日本を舞台に、伝説と陰謀が入り交じる土地で巻き起こる大活劇。殺陣のシーンも多い。クライマックスにかけての怒涛の立ち回りは初演時にも話題を呼んでおり、本舞台の魅力の一つである。

犬飼善蔵役も務める横山は穏やかな口調で、キャスト一人ひとりの動きを丁寧に指示していく。殺陣付けが終わると、各自スローモーションで動きを確認。その後、芝居の台詞も入れて調整する。
そこへ様子を見守っていた演出の菜月チョビからリクエストが。舞台のどの辺りの場所で、どういった動きが欲しいかをキャストに伝える。即座に意図を把握し、キビキビと対応していくキャストたち。

稽古場のステージ位置に向かい合う形で所狭しと並べられた長机では、制作スタッフや衣装スタッフが作業中。殺陣に合わせて「ドコッ」「ズバッ」「ドシュッ」といった音声が響く中、黙々と打ち合わせを続けるスタッフや、鼻歌を歌いながらケータリングでお菓子を選ぶキャストが混ざり合っている様子は、稽古場ならでは。

殺陣付けが完了した後、本番同様に組み上げられているセットも使用しつつ、芝居と合わせた稽古がスタート。
様々な組み合わせの殺陣が入り乱れるシーンは、誰かが一歩でも間違えれば衝突してしまう所だが、緻密な計算で練り上げられた殺陣と、キャストの身体能力のおかげで止まるようなこともなく展開された。

動きっぱなしのキャストたちは随時水分を補給しつつ、何度も振付を復習。殴られたり、斬られた側のリアクションなど、細かい部分にも菜月チョビの演出が飛ぶ。
「リズム感が見えると飽きてきちゃうよ」「もったりしないように、カッコ良く!」と繰り返す菜月。観客の目線や集中力を見据えたアクションシーンが作り上げていく。
10分程の休憩の後、芝居稽古へ。

始まったのは、物語の中心人物・曇(くもう)三兄弟のシーン。
家で兄たちの帰りを待つ末っ子・宙太郎(百瀬朔)の元に、次男の空丸(植田圭輔)と金城白子(松田凌)が戻ってくる。

植田と松田は稽古着の上から袴を着けた姿で稽古に臨む。一度シーンを流した後、百瀬の台詞回しに対して、菜月が「宙太郎は末っ子だけど、男兄弟の一人として心細さより物事を心配している感じを出して」とリクエスト。深く頷き、すぐさま修正してみせる百瀬。
空丸が絶叫する台詞含め、常に全力の植田。松田の芝居にも心情が滲んでいく。

ただ、松田が走り抜ける瞬間、自らの袴の裾につまずいたのか、ビリッと布の裂ける音が……。シーンの稽古終了後に、「やってしまった…。怒られる……」と松田が小声で呟いていた声が聞こえた。
次の場面稽古は、密命を追った部隊・犲(やまいぬ)の隊員たちと曇兄弟が激突するシーン。重大な秘密が明かされ、クライマックスに向かっていく。それぞれの使命と想いがぶつかり合う。

空丸の動きを自ら演じ、植田に演出を付ける菜月。植田も「ここは急がなくていいってことですね」と応じる。

細かくタイミングを調整する植田、松田、百瀬の横で、曇天火役の玉城裕規は、近くのセットに腰を下ろしていた安倍蒼世役の細貝圭の刀を借り、優雅に振りながらウォームアップしていた。
稽古用の鮮やかな赤の着物姿で踊るように体を動かす玉城の姿は、それだけで一つの場面のようだ。

次の瞬間、演出家に呼ばれた玉城は、細貝圭にひょいっと刀を投げて菜月の元へ。その動きの軽やかさは、天真爛漫で武芸にも秀でた天火そのもの。
「あ・うん」の呼吸で、玉城が投げた刀を受け取った細貝とのやり取りも、かつての盟友という役柄同様の信頼関係が感じられた。
再演ではあるが、新キャストの意気込みは眩しく、継続キャストも関係性を積み重ね、演技に改めて向き合っている。
また新たな舞台『曇天に笑う』が生み出されようとしているのだと、大いに感じられた稽古場だった。

 

 

【公演情報】

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舞台「曇天に笑う」

日程・会場:
2016/5/27[金]~6/5[日] 東京・天王洲 銀河劇場
2016/6/10[金]・11[土] 大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ

★詳しいチケット情報は下記ボタンにて!