マームとジプシー『cocoon』対談 藤田貴大×原田郁子
演劇や音楽は日々更新していけるから、
今日さんは僕らにこの作品を託したんだと思う。
演劇は戦争を描けるのか──。爆撃の激しさや被害にあった人や町の惨状を伝えるなら、映像や写真にかなわない。「戦争は良くない」とストレートに訴えるなら新聞記事でいい。演劇でしかできない方法で戦争を切り取り、観客に“その時間”を実感させることはできるだろうか? その高いハードルを飛び越えて見せたのが、一昨年のマームとジプシーの『cocoon』だった。原作は今日マチ子の漫画で、第二次大戦末期に、日本国内で唯一の戦場となった沖縄で、負傷兵の看護のために10代の女子学生で結成され、多数の被害者を出した「ひめゆり部隊」がモチーフになった作品だ。2011年の演劇シーンに大きな衝撃を与えた同作が、2年ぶりの再演で、東京芸術劇場を皮切りに、物語の舞台である沖縄公演も含めた全国ツアーを果たす。作品そのものだけでなく、その背景にも眼差しを向けて創作に臨む、作・演出の藤田貴大、音楽担当の原田郁子(クラムボン)に話を聞いた。
「RENT」エンジェル役・平間壮一さんインタビュー
人生を愛で測ろう Measure your life in Love
「RENT」
エンジェル役・平間壮一さんインタビュー
「RENT」(レント)は1996年2月、オフブロードウェイのニューヨーク・シアター・ワークショップで初演され、後にブロードウェイのネダーランダー劇場に舞台を移して以来12年4か月、連続上演5140回。現在では歴代8位のロングラン公演記録を樹立したミュージカルの最高峰。
アメリカではもちろん世界中で各国語版の「RENT」が上演されるなか、日本でも名だたる実力派若手俳優が名を連ね繰り返し上演されています。
2015年9月8日よりシアタークリエにて再演が決定した「RENT」でストリートドラマーのエンジェル役を演じる平間壮一さんにインタビューしました。
蜷川幸雄インタビュー<後編>『青い種子は太陽の中にある』&『NINAGAWAマクベス』について
ジャニーさんは演出家の心理がよくわかっているんだ。
一時は体調が危ぶまれたものの、文字通り創作をエネルギーに代えて「蜷川幸雄80周年」を快調に邁進中の蜷川幸雄。8月にシアターコクーンで上演される『青い種子は太陽の中にある』は、亀梨和也を主演に迎え、寺山修司が20代で書いた音楽劇を立ち上げる。そして9月には17年前にシェイクスピアの本場イギリスで絶賛された『NINAGAWAマクベス』を、キャストを新たに上演する。インタビューを通して語られた、創作への意欲と自分への。車椅子も酸素吸入器も、その激しさは止められない。
──8月の『青い種子は太陽のなかにある』は、寺山修司が20代で書いた音楽劇で、亀梨和也さんが主演、音楽監督を松任谷正隆さんが担当されることで話題です。
「俺にはね、ずっと前から演歌でミュージカルをやりたいという気持ちがあるの。なぜならそれは、日本人にしかつくれないから。ヨーロッパ音楽をそのままやったら、向こうにはかなわない。俺は自分達にしかできないことで一流の作品をつくって勝負したいんだ」
「靑い種子は太陽のなかにある」高畑充希 インタビュー
14歳のときに、山口百恵トリビュートミュージカル「プレイバックPart2~屋上の天使」で主演デビュー。以降も6年にわたってタイトルロールを務めた「ピーターパン」、難役とされる三重苦の少女ヘレン・ケラー役に挑んだ「奇跡の人」など、舞台でのキャリアを着実に積み重ねている高畑充希。その演技力と美声はドラマ、映画でも発揮され、今、最も勢いのある若手実力派女優との呼び声も高い。
そんな彼女が、この夏、「靑い種子は太陽のなかにある」で初めて蜷川幸雄演出の舞台に立つ。聞けば、蜷川作品の観劇歴はすでに10年以上。そして長年の願いがかなっての出演だという。
高畑「蜷川さんの作品は小さいころから観てきたので、私のなかでは近いところにずっとあったんです。始まりは確か、藤原竜也さんと鈴木 杏さんが出ていた『ロミオとジュリエット』(2004)だったんじゃないかな。女優になってからは、一緒にお仕事をしたいと密かに思いつつ、劇場に足を運ぶたびにご挨拶をさせていただいてました(笑)。稽古場にも一度。それがようやく蜷川さんとじっくり同じ空間にいさせてもらえる機会を与えられて、今はもう、楽しみで仕方ないです。でも稽古はまだまだこれから。だから夢がかなったというよりは、野望の入り口に立ったという心境ですね」
KERA・MAP #006『グッドバイ』ケラリーノ・サンドロヴィッチ&仲村トオル インタビュー
ケラリーノ・サンドロヴィッチ(以下、KERA)と仲村トオル。昨年末は舞台「夕空はれて〜よくかきくうきゃく」、今年はドラマ「怪奇恋愛作戦」と、立て続けにタッグを組んだ作品が発表されてきた。さらに9月、太宰 治未完の遺作を舞台化した「グッドバイ」でこのコンビが舞台に再登場する。
原作となる小説「グッド・バイ」は、10人の愛人を持つ男・田島の物語。田島は田舎に残してきた妻子を東京に呼び寄せることを決意し、そのために愛人全員と別れようと画策する。愛人たちときれいに別れるため、とびきりの美人を妻と偽ることにし、仕事で出会ったキヌ子を雇うが、田島はキヌ子に振り回されることに……。
一人目の愛人に会いに行ったところで終わってしまっている原作の続きを、今回KERAが紡ぐこととなる。田島を仲村が、そしてキヌ子を小池栄子が演じる。
「ドリアン・グレイの肖像」中山優馬 インタビュー
美貌の青年、ドリアン・グレイは己の肖像画をうらやみ、嫉妬する。
「いつまでも若さを失わずにいるのが僕で、老い衰えていくのがこの絵だったなら……」
その後、背徳に溺れ享楽の限りを尽くすようになったドリアンの望みどおり、彼の肖像画だけが醜く老いていく――。
19世紀末の唯美主義者、オスカー・ワイルドの傑作小説を、英国演劇界の名匠であるグレン・ウォルフォードが完全舞台化する。
永遠の美を欲したことで数奇な運命に翻弄されていく主人公に挑むのは、ストレートプレイ初出演にして初主演となる中山優馬。
中山「現実感がないようでいて、どこまでもリアルに感じる物語だと思いました。共感と言っていいのか分からないですけど、誰しもが持っている純粋さと欲望だという気はします。初主演ということで緊張もありますけど、そもそも武器がないところで何を不安に感じているんだと。ずっとやってきたダンスとはまったく別の土俵だととらえていますし、体当たりでいこうというのが正直な思いです」
「プリンス・オブ・ブロードウェイ」 柚希礼音 インタビュー
元宝塚トップスターの退団後初舞台は
誰もが夢に描くミュージカル・ショー
「本当に夢のようなチャンスをいただきました」と語る柚希礼音。宝塚歌劇団100周年を支えた希代の元トップスターが10月、退団後初の舞台となる「プリンス・オブ・ブロードウェイ」に出演する。巨匠ハロルド・プリンスが演出、自身が手がけた名曲・名場面の数々を繰り広げるミュージカル・ショーで、ブロードウェイスターが一堂に会するなか、唯一の日本人キャストとして参加する。
柚希「プリンスさんは『オペラ座の怪人』をはじめ、数多の傑作を生み出した方ですが、偉大なクリエーターは、常にお客さまの視点を大切にして作品をつくられるのだなと感じています。私が男役時代に培った低い声を聴いて、“このキーが出せる女性は少ないから、この舞台でも生かそう”と仰って下さいました」
「幻の城~戦国の美しき狂気~」鈴木拡樹&細貝 圭 インタビュー
教科書には載らないような歴史上の出来事をエンタテインメントとして表現する「もっと歴史を深く知りたくなるシリーズ」。戦国時代に生きた天正遣欧少年使節の知られざる苦悩を描いた「マルガリータ」に続く第2弾は、今からちょうど400年前の“大坂夏の陣”を題材にした「幻の城~戦国の美しき狂気~」。物語の主人公である狂気の武将・宇喜多秀家を演じる鈴木拡樹、秀家と運命を共にする根津甚八を演じる細貝 圭に話を聞いた。
「彼が常に場を和ませてくれるので、自然と座組の団結力が高まるんです」(鈴木)、「板の上に立ったとき、何があっても頼れる相方だなって」(細貝)と、互いに全幅の信頼を置いているというふたり。今作にはふたりや山崎樹範ら「マルガリータ」でおなじみの面々に、山本匠馬や新垣里沙、星野真里ら新キャストが加わる形だ。
細貝「『マルガリータ』はシリーズ第1弾ということもあって、僕らキャストはもちろんスタッフさんも手探りな部分が大きかったと思うんです。ベテランのやましげさん(山崎樹範さん)たちが中心になって引っ張ってくれて、僕も前回は座長でありつつもそれをすごく頼りにしていて。みんながみんな、どうすれば作品がもっとよくなるだろう? と常々考えてたので、この座組のチームワークは鉄壁だと思ってます」
劇団プレステージ『Have a good time?』猪塚健太&大村 学 インタビュー
アミューズの若手俳優たちが所属し、配役は劇団内オーディションで決定、公演で赤字が出れば解散……など、シビアな独自ルールを設けている劇団プレステージ。2012年の上演作品の再演となる「Have a good time?」では、これまでのCBGKシブゲキ!!を飛び出し、劇場のキャパを大幅にスケールアップ。さらに初の東京・大阪ツアーも予定しており、まさにこれが劇団の運命を懸けた一作となる。劇団旗揚げ当時から在籍し、初演でも活躍した猪塚健太、大村 学に意気込みを聞いた。
大村「お客さんの動員数で言うと、前作のほぼ倍近いんですよ。ホント、どうかしてますよね(笑)。でも、今回はこれまでよりステップアップしたくて、そのくらいのことをしなきゃ!って気持ちが僕らのなかにもあって。初演は小劇場の千本桜ホールでやらせてもらったんですが、この作品を終えてシブゲキに会場を移したんですね。そういう意味では僕らにとってターニングポイントになる作品で、その意味も込みで“運命の作品”って言ってます」
猪塚「歌やダンスの比重が大きかったり、エンタメ性の高い作品でもあるんですよ。初演の小劇場では物理的にできなかったような演出なども今なら実現できるということもあって、今回この作品を再演しようと」
30周年を迎える「おすましでSHOW」小堺一機インタビュー
失敗さえも“アリ”、だから面白い。
30周年を迎える「おすましでSHOW」
思えば、小堺一機は長寿番組に携わることが多い人だ。『ライオンのごきげんよう』は前身となる『ライオンのいただきます』から31年を数え、いまも放映中。関根勤とともにパーソナリティを務めたラジオ『コサキン』シリーズは27年半続いた。そして、舞台では1985年からはじまったシリーズ『小堺クンのおすましでSHOW』が今年で30回を迎える−−。
「まあ、あんま仰々しいのも恥ずかしいので、大げさに『30回です! ありがとう!』みたいな感じではなく、いつも通りにやりたいと思います」